棚替え(たながえ)?

 小売業で働いていないと、聞きなれない言葉ですね。

 

 しかし小売業の人間にとってはこの響き、「その季節か・・・ きたぁ・・・」という感じです。

 

 

 簡単に言ってしまえば、商品の入れ替え

 

 

 資生堂やコーセーと言った、カウンセリング化粧品はあまり大幅な棚替えは無いので、主に手軽に買える1,000円台くらいまでのセルフ化粧品と呼ばれる部類の商品です。

 

 

 例えば化粧品売り場の場合、一番分かりやすいのはボディケア製品です。

 

 保湿クリームやボディローション→日焼け止め関係。

 

 スキンケア用品も、秋冬の保湿系から春夏は美白系を多めにする、というふうにチェンジします。

 

 

 ヘアスタイリングやカラーリングはあまり変わりませんね。

 

 マイナーチェンジや色番の1個2個の変更くらいです。

 特におしゃれ染めは、シーズンで1色か2色、新色が出たりするので、既存のあまり売れ筋では無い色の取り扱いをやめて、新色に変えます。

 メーカー廃盤でなくても、売り場の棚には限界がありますから、何かをカットしなくてはならないのですよ。

 

 お店によって、棚替えの手順は異なると思いますが、私が以前勤めていた某総合小売業ですと・・・

 

 

 まず、本社の商品本部という所から陳列指示書が届きます。陳列指示書、略して陳指(ちんさし)。

 

 この陳列指示書の通りに商品を並べていけば良いだけの話ですが、たまに商品が棚に入りきらなかったり、商品自体にオマケが付いていて場所をとったりするので、簡単にはいきません。

 1年に1つくらいは「商品部何考えてんだこれーーーーー!!」と絶叫したくなるような無謀な陳列案が来たりします。

 

 陳指に沿って、商品入荷前にJANコードシールを発行します。

 

 よく、商品棚の前や後にバーコードと値段が表示してあるやつですね。

 このシールには色々な情報が詰め込まれているのです。ふっふっふ・・・

 

 新しく陳列する商品が届いたら、作業開始です。

 

 

 1、在庫(現在並んでいる商品)を全部折りたたみコンテナやカゴに移す。

 2、商品棚を掃除する。(ホコリがスゴイのよ)

 3、指示書に沿ってJANシールをあてがっていく。これで大体の配置が分かる。

 4、商品を元に戻したり、新商品を並べたりして完成。

 

 やっかいなのは、メーカーさんによって発売日がバラバラだったりすると、「何これ?盗難に遭ったの?」みたいな棚になってしまうこと。(商品がチマチマとしか並んでいない)

 

 棚替日までに新商品が届かないなんてこともザラです

 そんな時は、ちょっと在庫が多かったり、売れ筋などの商品を1列→2列にするなどして対応します。

 

 あと、商品のことを分かってないと、指示書にある商品が何か分からなくてごちゃごちゃになったりするので、バイトちゃんとかには簡単に任せられないんです。(もちろん、化粧品大好き☆な優秀なバイトちゃんなら話はベツ)

 

 

 さて。

 

 カラーリングのところでも書きましたが、新商品が入荷したら、在庫は全部棚に並べられません。

 当然『棚落ち』といって、そのお店にはもう並べませんよーという商品が発生します。

 化粧品の場合はほとんどがメーカーさんや卸問屋さんに返品されますが、中には返品出来ない商品もあります。

 

 これは良く見る「商品入れ替えのため値下げしました」という感じで値引きシールが貼られ、ざっくりワゴンで処分セールが行なわれていることが多いです。

 

 

 棚替えは大体、新製品の発売が多い2月から3月と、8月下旬から9月に行なわれることが多いですね。

 

 

 こうして書いていると、「なんだ、それだけのこと」と思えますが、月間1000万円以上の売り場とかになると、棚もいっぱいあるわけで、なかなか大変なんですよ。

 

 

 そうそう、売り場マネージャーになると、この棚替えの進捗状況をいちいち商品部に報告したりしなくてはいけなかったりして、細かい作業なので根気も必要です。