町田樹さんの平昌五輪解説の続きです。こうして樹くんの解説を記事にできるなんて幸せです。

 

■宮原知子選手

FS

動画→https://www.gorin.jp/video/5738968075001

今シーズンのこれまでの演技と比較しても、今回はよく音を聞いて動いていたし、よくスピードにものっていたという印象。
蝶々夫人の心情をよく表していたと思う。
宮原選手の中にはジャンプという意識はなく、一つのプログラムを作品として上演するという意識のほうが強かったのではと思っている。それがフリーでミスをしない最大の要因だろう。


ジャンプに集中するのではなくて、あくまで作品を届けるという気持ちに集中すればジャンプなんてどうってことない。

↑この部分を話すときの表情、すごく楽しそうで、言い方もちょっとくだけて、何というか「お茶目」な表情なのが良かったですね音譜 ジャンプを単体としてとらえるのではなく、プログラムの中の要素とみなすこと、現役時代からずっと語っていましたものね!

 

■坂本花織選手

FS

動画→https://www.gorin.jp/video/5738979218001
シニア1年目でオリンピック6位は偉業。このプログラムは17歳という今の年齢だからこそ十全に表現できたと思う。
ネガティブな意味ではなくて子供らしさが出ていた。

(↑この部分、どう表現したらいいのか言葉を探りながら話しているのが印象的でした。)
ジャンプはこの五輪でも3本の指にはいるほど質は高かったと思う。

■アリーナ・ザギトワ選手
FS

動画→https://www.gorin.jp/video/5738985494001
特筆すべきはジャンプ技術の高さ。3ルッツ+3ループをプログラム後半に決められる技術力の高さが勝因だろう。
ルール改正されてから、彼女のタノジャンプは一番腕のポジションが整っていると思う。
たたみかけるように質の高い技術を繰り出すことで、見ている者にすごみを感じさせるという趣向の演技。
メドベージェワ選手と一緒に練習し、切磋琢磨していることも大きいだろう。


■ケイトリン・オズモンド選手
FS


動画→https://www.gorin.jp/video/5738987699001
この五輪では一極集中して確実にフリーを仕留めたことが勝因。

何といっても長所は男子選手に勝るとも劣らないジャンプ。
 

<樹くんが考える良質なジャンプの条件>
ジャンプの進入速度と着氷速度のギャップがないほど良質なジャンプだと考えている。

オズモンド選手はそれを体現している。

「大きなジャンプ」「きれいなジャンプ」といったあいまいな表現ではなくて、速度にふれているところが実にわかりやすい!ジャンプについてこういう解説は今までなかったのでは。

■エフゲニア・メドベージェワ選手

FS
動画→https://www.gorin.jp/video/5738991336001
今年1月の欧州選手権でケガから復帰してから、SP、フリー共にプログラムの動作が整理されて、一つひとつの動きに感情が込められるようになったのが印象的。
おそらく、ケガで練習できなかったとき、小説のアンナ・カレーニナを再読してこの作品への理解を深めたのではないか。

スタインベックの「エデンの東」を原書で読んでいた樹くんを思い出しました。

■村元哉中/クリス・リード組
FD


動画→https://www.gorin.jp/video/5736868063001
五輪アイスダンスをすべて見たうえで感じたことだが、村元/リード組のエッジの深さは上位陣に劣っていない。これから世界的評価を高めていくという兆しが見えた大会だと考えている。
(演技に対して)風と共に舞っている桜が見えてくる。お互いのことを理解していないと、このパフォーマンスは生まれない。

↑このカップルをとても評価していますね!樹くんによるアイスダンスの解説がもっと聞きたくなりました。新たな観方を教えてもらえそうです。


■須崎海羽/木原龍一組
SP

動画→https://www.gorin.jp/video/5729676664001
終始いい表情ですべっていたというのが印象的。

ペアでは最高難度のサイドバイサイド3ルッツを良質に決められるのがこのペアの強味。
とてもベストマッチングなカップルだと思う。

 

「平昌五輪町田セレクション」は次記事で。

 

町田樹さん平昌五輪解説覚え書き①(男子シングル中心)+動画リンク追加

 

※テレビ画面出典:テレビ東京 ピョンチャンオリンピック2018【フィギュアスケートエキシビション】