ルワンダ滞在の楽しみのひとつに、「地方部への旅行」がある。

 

普段仕事をしているのは首都のキガリにある大使館で、生活圏内もおおよそ大使館の5キロ圏内に限られる。

 

実際に、半年間、大使館の5キロ圏外に出たことのない同僚もいるくらいだ。

 

そして、大使館の5キロ圏内に留まる限り、そこはアフリカではない。

 

整ったインターネット環境、水や電気などの生活インフラ、そしていつでも頼める30種類以上のデリバリーフード。

 

他のアフリカの国に勤務している人の話を聞くと、これほどまで暮らしやすい国はなかなかない。自分がアフリカにいることを意識するのは、町を歩いている人が黒人であることくらいだ。

 

ただ、それではいかにも味気ない。

 

せっかく、地方部に行けば日本と全く違う世界が広がっているというのに、ただ首都に留まって快適な生活やテニス、ゴルフ、そしてネットだけで時間を過ごすなんてもったいない!

 

そんな思いから、定期的に地方部へ旅行することにしている。

 

今回は3回目ということで、東部県のカヨンザ、ルワマガナ、ムシャを訪れた。

 

①カヨンザ

キガリから車で2時間弱。東部県の中央に位置するこの町は、ンゴマやアカゲラ国立公園など、東部県の主要な場所への玄関口となっている。

 

今回はここで観光隊員(JOCV)を努める井上さんに案内をしてもらった。

 

まず、到着した瞬間に大雨が降りだして、1時間くらいは身動きが取れなかった。

 

やっと小降りになったところで井上さんと合流してレストランへと移動し、ホテルのビュッフェを食べる。普段はビュッフェはやっていないということだが、今日は他に団体のお客さんが来るということで特別にビュッフェが用意されていた。ラッキー。

 

ここはまるでケンタッキー・フライド・チキンかと思うくらいチキンが美味しかった。

 

以前日本の有名ホテルで勤務していた井上さんにルワンダのホテルについて伺ったところ、マリオットやラディソンなどの高級ホテルが次々と進出する中、今一番サービスが良いのは、かつて最高級と言われていたような老舗ホテルだとか。

 

トップの座から陥落してしまったことに焦りを感じて、カスタマーサービスの向上を図って新しい高級ホテルに対抗しようとしているということだった。そして実際、ふんぞり返りがちな新しいホテルよりもカスタマーサービスは行き届いているとのことだった。

 

「自分たちが一番だ」というプライドは、悪い方向にいってしまうと驕りや慢心につながる。ホテルという分野において、そのことを思い知らされた。

 

食事後は、彼女の任地である職業訓練学校を訪れた。

 

ここでびっくり!なんと土曜日で休みなのに溢れんばかりの生徒が学校にいる。

 

何て勉強熱心なのか・・・と思ったが、実は全寮制のため、生徒たちは当然休みの日であっても敷地内に併設された寮にいて食事やらおしゃべりをしているのだった。

 

ちょうどお昼の時間に行ったようで、そこらじゅうで生徒達がもちのようなものの上に豆をかけた料理を食べながらしゃべっている。

 

井上さんの話によると、寮の部屋はなんと50人部屋なのだそうだ。小さな建物の中にとにかくたくさんベッドが置いてある状態・・・

 

これでは全くプライベートはない!複数人部屋が嫌でアメリカではなくイギリスに留学した自分にとってはこれは信じられない・・・ルワンダ人はたくましいと思った。

 

②ルワマガナ

カヨンザからキガリ方面に戻ること約30分。

 

ルワマガナで迎えてくれたのは、日本テクノというコンサル会社の、堀内さんだ。

 

いつも大使館に業務の報告に来てくれる堀内さんは気さくで話も合うと思ったので、この機会を利用して事務所兼お宅を訪問した。

 

日本の一流企業の人だから、けっこう整った環境で生活しているだろう・・・と思いきや、なんと前日はほとんど停電していたとのこと。

 

家は割と立派なものだったが、水が出なかったり、電気が使えなかったりで、お湯のシャワーを浴びるのも難しいとのこと。普段文句を言っているが、やっぱり大使館員の住んでいるアパートは恵まれている。

 

彼女は家に兎を飼っており、メス2羽とオス2羽が隔離されて飼育されていた。

 

僕は以前家で兎をかっていたことがあり、その可愛らしさにとても気分が和んだが、ドライバーに見せたところ、「おお、おいしそう!」と言っていた。やはり、ペットとして兎を飼える日本は裕福なようだ。ルワンダではペットを飼っている人など、ほとんど見かけない。

 

兎を見せてもらった後は、しばらくルワマガナを散歩した。

 

一応、ルワマガナは東部県の県庁所在地(ルワンダに県は4つあり、日本でいうと名古屋くらいの位置づけかな?)だが、のほほんとしていて、全く都会っぽい雰囲気はなかった。

 

③ムシャ

ここでは、大学同期の武田くん(JOCV)の家にホームステイさせてもらった。

 

協力隊員の家には基本的にゲストルームがあるようで、そこに泊めてもらう。

 

夜は、一時帰国した時に買ったキムチ鍋の素を使って野菜鍋を作って食べた。

 

ネギ、大根、菜っ葉というこれ以上ないほど健康な鍋を食べながら日本酒を飲み、いろいろと語った。普段、大使館では官房班の若手職員を除くとなかなか同世代の人と腹を割って語る機会がないので、とても充実した時間になった。

 

武田君は隊員を終えた後のことをいろいろと考え始めており、僕もそろそろ真面目に考えなければ・・・と思った。

 

寝る前には協力隊員のお風呂事情について知ろうと思って、実際に彼がしているように、沸かした湯と水を半々に混ぜた桶の湯を使って頭を洗って、体を拭き、洗顔してみた。

 

大き目の桶半分くらいの水を、大切に使って少しずつ頭にかけ、タオルを浸して体を拭き、洗顔もひとすくいの水を大切にした。すると、それだけの水でも何とかなってしまったのだ!

 

普段は、おそらくあれの100倍くらいの水を使ってシャワーを浴びたり、風呂に入ったりしているので、多少物足りなく感じたが、改めて水を大切に使うことの大事さを学んだ気がした。

 

 

 

翌朝は、村を散歩する。

 

相変わらずみんな「ノリ」「ノリ!」と武田君の名前を呼んでいた。あれでは、寂しくはないが、外を歩く度に疲れそうだと思う。つくづく、協力隊員はやりがいと同時に苦労も多そうだと思う。

 

お昼には、以前ホームステイさせてもらったフェザさんのお宅へお邪魔した。

 

フェザさんは一見ラスボス的な重厚な雰囲気を持つが、実際は心優しいおばちゃんだ。

 

今回は、前のホームステイの御礼にラジオを購入して持って行ったところ、

「おお、これは神からの恵みだ。」と言って喜んでくれた。

 

試しに聞いてみたところ、BBCも入り、なかなか音質も良かった。

 

今日もご飯を待ちながら子供たちと遊んだり、新しく完成した調理場を見学したりして、約2時間ほど待ってようやくご飯にありついた!

 

時間をかけて茹でられたマカロニは、いつも優しい味がする。そして、今回もついつい食べ過ぎてしまった。

 

2時過ぎにお別れを告げて、キガリに帰るためのバスに乗るため、メインロードへと向かった。

 

 

武田君いわく、通常は、「マタツ」と言われるバンのような小型のバスで、ラッキーだと「エクスプレス」というマイクロバスを拾えるらしい。

 

まず、着いて20秒でエクスプレスが着て手を上げたが、満員のようでスルー。

 

すると、あた20秒後に、巨大なバスが来た。

 

今までもほとんど見たことがない巨大な観光バスだ。

 

わけがわからなかったが、とりあえず手を上げてみると、何故か止まってくれた。

 

フロントガラスには、タンザニアとルワンダの国旗が掲げられている。

 

1500フラン(200円)を払って乗車して、隣にいたおじさんに聞いてみると、

 

なんと隣国タンザニアのダルエスサラームから30時間以上かけてやって来た国際バスとのことだった。

 

一体、何故そんなバスが止まってくれたのだろう・・・

 

まあいい、とりあえずラッキーなことには変わりないのだから。

 

次は、北部か南部にいる隊員を訪ねたいと思った。