英会話を教えていて、たいていの生徒さんはかなり元々持っているモチベーションが高い。

こちらが用意したテーマやトピックをそのまま使っても何の問題もない。

しかし、中にはそうではない生徒さんも存在する。

通常のレッスンではどう頑張ってもあまり話してくれないし、

全然楽しそうに英語を学んでいないのだ。

これには多くの教師が直面している問題であるが、せっかく来ているのだから何としても解決しなければならない。





そこで私が毎回言っているのは「トピックの重要性」である。

どんな英語の授業をするのかはもちろん重要であるが、極端な生徒さんやあまりモチベーションの高くない生徒さんの場合、英語英語押しで進めても限界がある。

「所詮英語の学習だ」と思ってしまうのである。




しかし、もしそれを英語の勉強ではなく、自分のことなどについて語る場になればどうだろう。

人間は本来自分の興味のあることや自分のことを人とコミュニケーションしたいという欲求を持っている。

だから、その人が話したいこと、最も興味のあることを話させることで、英語のモチベーションと英語力そのものも上げようという作戦だ。




これは1980年代の後半に「談話領域仮説」という名のもとに一時期研究が行われたが、

あまり目立った成果が得られていないことから、最近では下火になっている説である。


これによると、言語習得はある特定の談話領域「話すトピック」の中で起こり、つまりその話す内容自体が英語学習の成否に関わるという説である。

よって、自分の興味のある、または好きなトピックを話せば発話量が増え、英語自体のレベルも上がるというものである。





前置きが長かったが、要は学習者が話したいと望んでいるトピックを選んで取り上げて、タスクに組み合わせることは有効であるということである。


ある人は、いわゆる「交通オタク」である。

特に鉄道関係の知識は目を見張るものがあり、よく教室に鉄道グッズを持参してくる。

しかし、英語となるとあまり積極的に話してはくれない。

たまたま今日はその人が1人しかレッスンにいなかったので(マンツーマン)、いつもはトピックとして上がらない鉄道関連の話題を本格的に展開した
(実は私自身もその方面ならある程度は話せる)


するとどうだろうか、今までほとんど話さなくて、タスクを遂行する最小限の英語しか話さなかった生徒さんが、25分間、ほぼひとりで語り続けたのである。


しかもいつも持参しているアイテムや地図、時刻表をフルに活用してかなり複雑な文章もアウトプットしていた。


これには私が一番びっくりした!

トピックがここまでモチベーションや話したい意思を高めるとは!

しかし、どうやら他の先生の授業で鉄道の話が出なかったときは、いつもの調子に戻ってしまったらしい。


このように、英語を話したい意思(Willingness to communicate)は、常に安定したものではなく、

状況、トピック、会話の相手などのよって、大きく変動を繰り返す要素であり、教育においては重要である。




僕はこれからこれについていろいろ勉強してみようと思っている。