8月30日


旅立ちの朝だ。


私はこれからアジアの激流インドへと旅立つ。




それは緊張感を伴っていた。


人間に緊張感は必要なものである。


その心地よい緊張感が私の眠気を追いやった。


本日は晴天なり、夏も終わりに近づいてさわやかな風が吹いて流したような空が広がっていた。


バイキングの朝食で魚を食べるときに、もうここ魚とは10日間ほどお別れだなあと思った。


タクシーで空港まで行きみんなと合流する。


昨日会ったばかりのはずなのになぜか会うのを緊張している。


それは、もうこれから10日間逃げることができないからであろう。


私は9時ちょうどの到着で後ろから数えて2,3番目の到着だった。


しかし遅刻しなかったことは評価されたようだ。


最後にあらけんが来たところでチェックインをした。





今回利用の航空会社はシンガポールエアライン。


航空会社の中の航空会社である。


あらゆるランキングで世界1位に君臨し続ける誰もがあこがれるアジアの雄だ。


だから航空ファンの私としてはSQを使うのがとても楽しみだった。


ランキングの高いキャリアでは今までEKを利用したことがあった。




EKとSQは共にハブ空港戦略で乗り継ぎ客で儲けている航空会社だ。


その違いを比べてみようとも思う。


私はとりあえず乗る前に自分を落ち着かせようとマックへ行くことにした。


見送りに着てくれた母へ電話もしたかったし、一度一人になって一服したかったのだった。



でも、他の3人もついてきた。


これは悪いことではない。


少なくとも私は避けられていないのだ。


マックで談笑しつつ出発に備えた。


さすが日本の空港と有名エアラインの組み合わせとあって飛行機は定刻どおりに出発した。





そして機内に入るとあの名物ユニフォームを来た客室乗務員の笑顔に迎えられた。


その笑顔などが洗練されていると思った。


また、エミレーツは確かにいい航空会社だが、中東体質のためかキャビンでは乗務員達がしゃべっている。


ふつうにうるさいくらいの声でしゃべっているときさえある。


SQではそれがなく、全員統一されたような笑顔で話しかけてきてくれるので親しみはあまり持てないが、安心感は絶大だだ。


また、乗務員同士の会話ややりとりも客の前だと笑顔で行うのでそのあたりにもNO1としてのプロ意識を垣間見ることができる。


機内食もおいしいと素直に言えるものだった。


味付けもこの前乗った全日空と比べても遜色ない細かなものだった。


私は照り焼きチキンを頼んだのだが、寮で食べるチキンよりもおいしかった。


最初の席は通路側(あらかじめお願いしておいた)で、隣が蘭さん、その横が先生だった。


観た映画はガンツというSFちっくなもので、一度死んだ人々が戦死として復活して怪物と戦っていくという日本映画だった。


シンガポールからアーメダバードへ向かう飛行機はもえちゃんが隣の二人席だった。


やはりあまりしゃべったことのない女の子の隣というのは男として無条件でうれしいものだ。


私はビールも飲んで会話にのめりこんだ。




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眠る蘭さんと先生、長旅に備える。



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シンガポール航空の機内食



そして、映画を観ている最中に寝てしまって不意に外を見ると、そこにはすばらしい、すばらしい景色が待っていた。


それは夢をみているかのような光景だった。


つまりあれだ、理屈なしに純粋に目で見て美しいと思える景色だ。


一言で言えば上にも下にも星が出ている景色という言い方ができるであろうか。


空にはもちろん輝く星達がちりばめられている。


そして、下を見下ろすと、集落の灯りが点々としてまるで下にも星があるかのようである。


湖に大きな星が反射して光っているかのような幻想的な風景だ。


これはあれだ、あの映画「ハッピーボーンズ」の、現世とあの世の境目 といわれていたあの光景にそっくりだと思った。


全てが非日常でありその光景は都合のよいことに室内の灯りを全て落としたA330からはより一層美しく見えたのだ。


これは、ここ一年、いや一生のうちに見た景色の中で最も美しい景色になるだろう。


私はこの大きな感動を誰かに伝えたいと思い機内を見渡した。




すると・・・みんな寝ている。


何ということだ、私は寝ている人を起こすほど苦手なことはない。


と、良くみると秋吉先生がおきている。


これは大きなチャンス!


先生にこの感動を伝えたいと思い私は先生に声をかけた、そして先生は感動してくれた。私はすぐ後ろに行き、一緒に景色を見ていた。ううー、ロマンチック!♥


ああ、やっぱり誰かと一緒に旅行する良さって、こうやって美しいものを共有できることなんだと、改めて集団旅行の良さを感じた機内だった。





最初の夜のホテルはVIP級のホテルだった。


周囲の貧しい雰囲気から一転してそこだけ光り方が違っていた。


入り口には警備員がいるし、中はとてもモダンな雰囲気となっている。


ウェルカムドリンクやホテルの従業員の対応の良さからもうかがえる。


しかし、そんな見た目の良さとは裏腹に部屋に行ってみると・・・ キター、ダブルベッド攻撃!


 しかも小さい・・・


 よし、作戦1、交渉術、フフフ私は2年生のときに交渉術の授業を取っていただけあってこの道のプロだぜ。


まずは、相手の機嫌を取ることから・・・


って普通に変えてくれって言ったら変えてくれました。


そしてその夜は床がビタビタになるシャワーを浴びて、クーラーがんがんにつけて寝ました。



とりあえず一日目、無事にスケジュールをこなす。



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無事インドに到着。

次回はいよいよインドの大地に足を踏み入れます。

(この移動はおまけのようなものです)