先日の岩手県出身の芥川賞作家、高橋克彦さんがラジオで、大震災後の人々が、スパーアマケットなどの早期の開店を望んであいるが、自分が係わる分野の「書店」の開店を望むことなく、人間と文化・芸術の係わりについて考えさせられたと述べていた。
確かに、あの異常な災害において、文庫本を読むなど尋常な人間ではあり得ず、まず、衣・食・住を心配し求めるのが常識で、文化・芸術はその混乱が収まってからであろう。
孔子の教えの中に六芸があるが、これは礼(礼節)、楽(音楽)、射(弓術)、御(御者術)、書道(書道・文学)、数(数学)の六つの技芸の事で、人間(君子)はこの六芸に長ける必要があるとされ、「子曰わく、道に志し、徳に依り、仁に依り、芸に游(あそ)ぶ」がある。
数千年前の古代の洞窟に書かれた絵にも、楽器を奏でる様子を描いた絵もあるが、人間と文化・芸術は切っても切れないことを教えてくれます。
多分、今回の災害復旧の過程でも、例えば、ピカソのゲルニカのような文学や芸術が生まれてくるのではないでしょうか。
今回の災害に逢われた方々も音楽を聞くことで心が癒されているとのこと、被災地で小学生たちが歌う「ふるさと」を聞き涙を流している姿を見ると音楽の持つ力を再発見させてくれます。