先日マスコミでカズオ・イシグロ氏を紹介していました、彼は日本(長崎)に5歳まで住み、父の仕事の関係でイギリスに渡り、以降、日英両国の文化を背景にして育ち、イギリスの大学で英文学と文芸創作を学んだ方だそうです。
大学卒業後、初めはロック・ミュージシャンを目指していましたが、1981年から作家活動に入り、長編第3作目の「日の名残り」(1989)で、イギリス最高の文学賞であるブッカー賞を受賞し、今や国境を越えた普遍的な文学性により、イギリスのみならず世界中から注目されているそうです。
私は彼の話題作「日の名残り」を読んでいませんので書評は書けませんが、彼が、日本に帰り?町を歩くとたまらない懐かしさが湧いてきて、他の国を訪ねた時とは全く異なった感情になると語っていることに興味が湧きました。やはり、人間のルーツというものが人間のアイデンティティに大きく作用するものなのだと思いました。
いつだったか文字通り「ルーツ」というTVドラマが話題となりましたが、これは作家アレックス・ヘイリーが自分の母親の家系(ルーツ)をたどった物語で、アフリカの大地から奴隷としてアメリカに連れて来られた黒人少年クンタ・キンテの生涯を描いたものでしたが、アレックス・ヘイリーもまたアフリカの大地に特別な感情が湧いたのでしょうか。
多くの日本人はその気になれば4,5代の明治初期まで(多分江戸時代も同じ土地)さかのぼれますから、祖先の生まれ育った地を学ぶ温故知新が「自己確信」につながり良いかもしれませんね。