武士の家計簿という映画が話題になっているが、すなわち、江戸時代泰平になった侍も、武芸よりも経済・そろばんが大事になっていた。
武士の家計簿ではないが、わが身と家を守るため、すなわち、破家者(バカモノ)と言われにためその自戒のために行住坐臥にこまやかに気を配った書き物があります(これをみると海老蔵さん本当に破家者です)。
1、四十にもあいなり侯間、色欲等別してつつしみ、飲食の節失うべからず
2、道具好みと申すこと、欲心に付き、つつしみて過分のことを致すべからざること
3、驕りは即ち衰への至りより起きる故、物事驕るべきらざること
4、不益のこと言うべからざること
5、戯れにも放屁などいたずべからざること
などとあります、江戸時代はちょっとでも粗相をすると家碌没収ですから、世渡りは細心、しかし、この教え今でも十分通じますね。
なお、江戸時代にもし、上司にごまをする(意味はすり鉢でゴマを擂ったら、すり鉢のぎざぎざにこびりつきとれないことかららしい)のなら、文字通り上司が赤を黒と言ったら、その通りですとまで徹底的にゴマをすれと書いてあります。
このゴマを擂らないのが、藤沢周平さんの海坂藩の「せみしぐれ」などの主人公であるが、これはあくまでもフイックション。
実際は五代将軍綱吉の側御用人柳沢由保のように百五十石からなんと甲府府中領主二十万石まで出世した者や、あるいは、尾張四代藩主義通の寵臣奥田主馬のような者もいる。しかし、彼らの出世の秘策は「性」にもとずくのであったが、泰平のになればなるほど、ノーパンシャブシャブ同様(それ以上)であったことは人間の弱みでしょうか。
ゴマを擂るのも教養のある人にはなかなか出来ませんので、田舎の方丈の庵で晴耕雨読が一番いいかもしれませんが、子供を育て家庭を守るためには、これも定年まで封印で、やはり覚書をよく見て当分は不益のことを言わずに家碌を守るしかありませんね。