幼いころ宮崎駿さんの「となりのトトロ」を映画で見たり、あるいは、絵本で読んだ人は沢山いると思います。内容はサツキとメイの姉妹が母の病気の治療のため東京郊外の古い家に引っ越してきましたが、ある日、メイは不思議な生き物に出会います。それは人間よりも昔から日本に住んでいる「トトロ」でした。

このファンタジー、どこの国の人々も感ずるであろう豊かで懐かしい自然を背景に、姉妹とトトロとのさまざまな冒険を描いた名作で子供達の心に人間として成長する大きな影響を与えたのではないでしょうか。

ここに、トトロを書き出したのは、宮城県石巻市で2人を殺害し、一人に重傷を負わせた元解体工の19歳の少年の裁判員裁判で、仙台地裁は求刑通り「死刑」の判決を言い渡しました。裁判長は「更生の可能性は著しく低く、例え少年でも死刑を回避する決定的な事情とまでいえない」と言い渡したそうです。

少年犯罪としては昔し、永山事件がありました、彼は青森の極貧の両親もいない家庭でボロキレのように育ちました。また、最近の山口県の光市の母子殺害事件の少年も家庭での愛情もなく成長しました。いずれの事件も、少年等と言っていられないほどの極悪非道の事件で、死刑の判決もある意味当然かもしれませんが、しかし、幼児のころから、トトロのような豊かな感性の映画も、絵本も一度も見せられたことがなく、「お前に食べさせる飯しなどない」などと言われて育った人の心は一体どんなものなのでしょうか。永山被告は収監されて始めて学び成長し「無知の涙」を残しています。

仏教には「罪人こそ救われる」という教えがありますが、今回の判決の裁判員の方々も心が乱れたでしょうね、ご同情申し上げますが、荒れている社会、今後ますますこのような事件が起きるのでしょうか、そして、この判決は犯罪の抑止力になるのでしょうか。