昨日のETV白熱授業でハーバード大学のサンデル教授は「代理母」についての裁判の話をしていた、卵子や精子は、金のために売買されるべきかどうか、すなわち、突き詰めていけば出産は労働かという問題になる。しかし、人間の生殖にかかわる問題を金銭で売買していることは古代ローマ時代から「売春」という方法であり、人類の歴史とともに営々として今日まで引き継がれている。

ただ、子供をつくるための生殖にかかわる代理母の問題は、科学技術が進歩したここ数年の問題であり、日本でも女優の向井さん以降、子供が欲しいが出産出来ない夫婦の間で真剣に考えられていることも事実である。

白熱授業では1980年代におこった代理母の「ベビーM訴訟」を例に、営利目的に代理母になった女性の「同意」は有効かどうかいついて議論していたが、裁判所は、文明社会には金では買えないものがある、という決断を下したそうです。

売春と代理母、どちらも生殖に係わる労働とその対価を得ることでは同じような気もいたしますが・・しかし、代理母については難しい問題ですね。中にはお金のやりとりをしない代理母もありますから(姉妹が、あるいは祖母が娘のために)、この場合は、崇高な気持ちを評価されるべきでしょうか。

こと「売春」については、オランダでは1912年から売春管理法で「自由業」として認められているそうですが、年間20億ギルダー(約900億円)を生み出す巨大産業であり、政府とて業界をつぶすつもりはなく、内務省は合法的に行ってくれればよい、との意向らしい(ドライですね)。

このオランダのように割り切って売春にも「市場原理」を広げていくとどんな社会が生まれるのか、日本にも江戸時代公認の「遊里」があったが、江原西鶴は、遊女狂いで高利の金を借りて、「近年、町人身体たたみ分散あえるは、好色・買置き、この二つなり」と書き残し、身代を潰すよ!と警告している。

また、世界的に見れば特に貧困から、少女・少年が都市部の闇で売春をするケースが多いといわれ、誘拐、人身売買の犯罪も多く、貧しさから人間性を踏みにじられている悲惨な「マーケット」でもあることも忘れてはならない。