行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまるまるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。玉しきの都の中にむねをならべいらかをあらそへる、たかきいやしき人のすまひは、代々を經て盡きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。或はこぞ破れてことしは造り、あるは大家ほろびて小家となる。住む人もこれにおなじ。所もかはらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。あしたに死し、ゆふべに生るるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。

この文章は日本人なら誰でも知っている鴨長明の「方丈記」で人の世の無常を記してい名文ですが、最近のトヨタ自動車のリコール問題と株価の下落を見ていると、つくづく、大家滅んで小家となるが実感です。トヨタ自動車は日本を代表する良質な工業製品の自動車をしかも、プリウスという低燃費車を売り出し、ハリウッドのスターもステータスとして愛用していたとか、まさに、天下随一の車だったはずが、何と、アクセルペタルに問題があるとか、さらには、ブレーキの効きが悪いとか自動車の安全の最も重要な箇所のリコールとなった。

人間や企業も慢心は最も戒めなければならないものであるが、トヨタも始めは欠陥ではなくドライバーの感覚の問題だとしていたが、ユーザーの苦情が多く、リコールとしたとのこと、期間工と派遣切り問題でトヨタの企業倫理が問われたが、この問題でもまた倫理問題が問われている。

しかし、日本のマスコミは、トヨタからの広告収入が多いため、小沢問題のようにどんどん突き上げるような報道はしない、これがまた、いつでもどこでも正義を説いている水の泡にも似たるマスコミの最大の弱点である。