最近多くのマンションすなわち集合住宅で問題となっているのが、老朽化に対応するための維持管理の問題であるである。建物も20年、30年を過ぎるとコンクリートの劣化(アルカリ骨材反応等)が急激に進み、剥落、そして、雨漏りともう人が住めないような状態にもなってしまう。

一時期バブルの時は土地の有効利用で費用を捻出し立て替えも出来たところもあるが、これは、例えば青山の同潤会アパートのような立地も優れたような場所のものに限られているようである。

わが国はそもそも、伊勢神宮の遷宮の事例にも見られるように、建物についてはスクラップ&ビルドをし続けてきた歴史がある。また、ヨーロッパのような石造りの共同住宅を数百年にわたって使い続けてきたような歴史はないため、共同住宅をどのようにして維持管理するかにも不慣れである。

また、昭和40年代から建設された住宅公団は当時の急激な都市人口を収容するための施策で行われたため、都心からは遠い、住宅は狭い、交通の便は悪いの悪条件が重なり、若い人の入居も少ないため住民の高齢化が進み、今や空き部屋も目立っており、国民の貴重な税金を投入した建築物が不要の長物になろうとしている。

民間の共同住宅においても、また、旧日本住宅公団に代表される公的な集合住宅においても、コンクリート建造物等の中高層建物の維持管理はわが国住宅政策の大きな課題である。