最近は二大政党の低劣な泥仕合で、東シナ海の中国によるわが国の主権を無視した天然ガス開発のニュースも下火になっている気がする。世界のエネルギー事情が逼迫しているなか、政治家は国家の100年の大計を考えた論争を、マスコミは劇場型政治の片棒を担ぐのを止めて国家、国民にとって本当に大事なニュースを流してほしいものである。
ガス開発が重要なことは今後エネルギーの主役が石油から天然ガスに移行し続け(現在世界のエネルギー消費にしめる天然ガスの比率は24%で、石油は37%)、2025年には天然ガス需要が石油需要を上まわると予想されている。
例えば、アメリカではガス消費量が過去10年で35%増加しており、供給が追いつかない状況となっており、20年後には現在の世界の供給量に匹敵する1億㌧規模にまで需要が拡大するだろうと予測されている。
このことを見ても、現在全世界で年間約1億2千万㌧あまりのLNG消費量は、今後10年程度で倍増するとみられており、液化プラントだけでも今後10年間で10件以上、合計1兆円をこえるプラント需要が創出される計算となり、プラント業界及び造船業界に神風を吹かせる産業分野であることは明らかである。
なお、これらを輸送する船舶の大型化が急激に進むものと考えられ、これまでは日本、韓国の最大船型である東京湾マックスと呼ばれる船型(排水105,000MT)が標準であったが、今後伸びる米国需要を背景に、大西洋マックス(165,000MT全長300m、幅50m)や、さらに、ガス産出国のカタールに合わせた、カタールフレックス(210,000MT)およびカタールマックス(270,000MT)が主流となり、わが国でもこれらに併せた大型岸壁の整備が急務となろう。
公共事業について短絡的に全て悪と考えずに、国家百年の先を見通した国土整備を押し進めることも、子々孫々のためには必要不可欠のことである。