漆喰はわが国伝統の壁材であり、以前は神社仏閣のほか農家や商家など多くの建造物の壁材として用いられていました。そして今でも見られる代表的な建造物は各地のお城であり、白鷺城として名高い姫路城などはその好例であります。
それでは、漆喰がなぜ何百年もの歳月を耐えることができるのでしょうか、それは、施工直後から、空気中の二酸化炭素(CO2)と徐々に化学反応を起こし、石灰岩と同じ成分の炭酸カルシウム(CaCO3)となり硬化するというこの特異な性質によるためです。
漆喰が最近見直されているのは、アルカリ性の性質による防カビ性、微多孔質な構造による吸放湿性、防火性、堅牢性などの性質を持ち建築物として最適であることの他に、アルカリ性の性質から化学物質のホルムアルデヒドを吸着し再放散しにくいため、今多くの人々が悩んでいる、シックハウス症候群の予防にも大いに有効であることにも注目されています。
なお、漆喰の原料としては消石灰の他に海藻糊、大豆油、菜種油、それに麻、わら、紙、竹などであり何れも天然自然のものであり、わが国の伝統工法が人と環境にやさしいものであり先人の知恵には驚かされます。
最近のわが国の建築物はコンクリート打ちっぱなし工法が多く(これらの無機質な建物が何とか賞を取る例が多い)伝統的な漆喰はあまり利用されていません。
今後、日本の伝統的な工法を残すためにも、漆喰を更に改良して近代的な建築物に利用される時がくれば、健康にも、自然にも、そして、職人さんにも良い産業振興の一役を担うことができることが考えられます。