最近、環境分野においてバイオレメデーション(Bioremediation)という言葉が使われるようになった。
バイオレメデーション技術とは、微生物、植物及び動物などのもつ生物機能を活用し汚染した環境を修復する技術であり「生物による環境修復技術」であり、まさに21世紀の有望な産業である。
生物を利用した環境浄化技術として、これまでに、排水処理や有害物質分解微生物の開発などの多くの技術開発がなされてきたが、最近ではタンカーのバラスト水や、廃油による沿岸域の油汚染、さらには、工場跡地におけるカドミウム、水銀などによる重金属汚染などの低濃度、広範囲な地球規模の汚染あるいは土壌汚染などが問題となっており、これらの汚染の浄化には従来の物理化学的処理では対応が困難なため、バイオレメデーション技術の活用が一層注目されたているものである。
バイオレメデーションにおける最も重要なポイントは、有害物質を分解する微生物をいかに有効に活用するかということであるが、単に分解微生物を開発すればすぐに実用可能ということでもない、すなわち、汚染物資の種類と濃度、汚染の広がり、汚染土壌の物理化学的性質、あるいは、地下水の水理学的特質などを調べる必要がある。ただし、この手法で全ての環境問題が解決されるものでもなく、当然であるが、汚染の状況に合わせて他の物理化学的な処理法と併用されることも多い。
例えば、ナホトカ号による海洋汚染では(ごく一部の海岸でバイオレメデーションが利用されたが)大部分の海岸では人力作戦による海岸の清掃が行われた。この理由は、輸入(生産)されたものにどのような微生物が利用されているか(生産会社の秘密事項)から明らかにされないことが多く、このため、国としても認めることが出来ないことに原因があるようだ。
今後これらの問題の解決を図り上手に利用できれば無農薬野菜の生産が当たり前の時代がくるかもしれません。