アルビン・トフラー著「第三の波( THE THIRD WAVE 1980年)」をご存知と思います。書き出しは「産業社会は行きづまった。今日、世界のいたるところに、いっせいに巨大な波が押し寄せている。そして、人間が仕事をし、レジャーを楽しみ、結婚し、こどもを育て、やがて引退していく環境を、この波が一変させ、しばしば奇妙な状況を出現させている。
こうした混乱した状況の中で、ビジネスマンは極度に変化の大きな経済の流れに逆らって泳いでいるのであり、政治家たちは自分たちに対する支持率が極端に上昇したり下降したりする現実に、目を見はっている。・・・・価値体系そのものが分裂して、家庭や教会、国家といった救命ボートも、激しい勢いで海中にたたきつけられている。」・・・まさに今日を予言した名著である。
第一の波とは約1万年前に始まった農業革命人類に最初の文明をもたらした技術革新の波であり、第二の波とは、石炭、ガス、石油などによる産業革命であり、そして、第三の波とは、人工衛星、コンピューター、レーザー、新素材などの画期的な科学技術の発展であるとしている。この第三の波に生きる私達をトフラーは予言していたと言っても過言でない。
ここで、私達人間が何をすべきかについて「人間にとって苦痛を伴う、計算するとか字をきれいに書くとかいうことは、機械に任せればよい。人間は人間にしかできない新しいものを創造することに力を注げばよい。」と記述している。
昨今は連日のように新聞・TVなどのマスコミが倒産、リストラ、内定取り消し、派遣切りを100年に1度の未曾有の大不況と(煽って)報道しているが、自分達は酒、タバコ、競艇、はてはパチンコまでのコマーシャルを垂れ流してそのCM料で高報酬を得ている姿勢は、困窮した人々を対岸の火事としてみていると言われても仕方がありません(数年前西部邁氏がマスコミ亡国論を出版していますが)。
本当に今の世を嘆きさまよっている人々の側に立つのなら芸能人や野球、ゴルフ、卓球、サッカーなどのスポーツ選手のみでなく、トフラーの言う「人間にしか出来ない新しいしものを創造」している者達の報道に力を注ぎ、彼らにこそ脚光を浴びせるべきである。