日本式モノづくりの敗戦―なぜ米中企業に勝てなくなったのか/野口悠紀雄 | ブログ

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おはようございます。岡本大輔です。
本日の紹介はこちらです。
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【出会い】
帯広図書館で出会い、読んでみました。難しそう~。

【本書紹介のねらい】
~本書抜粋より~
いま日本にとって必要な標語は「考え直そう日本」である、「日本を含む先進国は所得が低く、新興国の大部分の人々の所得は著しく低い」という当然の事実を再確認し、それと矛盾しないビジネスモデルを構築することである。

今の日本の課題を取り上げ、これからどうしたらよいのか、あなたも一緒に考えて見ましょう。


【気になった抜粋】

日本企業が不振を続ける基本的原因は、企業外部の問題ではなく、企業のビジネスモデルそのものにあると考えざるをえない、条件が大きく変化したにもかかわらず、古いビジネスモデルに固執することが間違いなのだ。

アジア新興国の市場は、急拡大している、たとえば、中国での2011年の自動車の生産台数、販売台数は、ともに1800万台を突破し、3年連続で世界首位となった。アジア消費者市場への参入が日本企業の救世主にならないと考える第一の理由は、他の先進国や新興国のメーカーがすでに参入しており、激しい競争が展開されているからだ。

第二の理由は、新興国で求められるのは、高品質の製品というよりは、低価格の製品であることだ。

ブランドは残っている、アメリカの消費者は、自室にはビデオを置くが。居間に置くのはソニーやシャープだという、そうするのは、画像が優れているからではない、ソニーやシャープがアメリカ市場に残っているのは、性能がよいからでなく、ブランド力があるからである。

日本の企業は「よいモノを安く作る」のがモノづくりだと思っている、現実には日本のテレビは「普通のモノ」になってしまった、それでも高く売れる、つまり、「普通のモノを高く売る」ことも可能なのだ。

日本の場合には、そもそも「経営者のマーケット」が存在しない、だから改革者を国内に求めるのは、難しい、外国に求めるほうが効率的だ、実は日本はこうしたスタイルの改革をすでに経験したことがある、それは第二次世界大戦後の連合国による占領である、最高権力者が入れ替わり、国家運営の最高目的が、戦争遂行から経済成長に変わった。

21世紀は、米中というG2がリードする時代になることは否定しえない、しかし、日本はのけ者ではない、世界の方向付けに重要な影響を与えられる、それが、日本の未来をも左右するのである。

【響いた抜粋と学び】
日本の中心産業である製造業全体が深刻な経営危機に直面している、「その他」ではなく「中核」が問題を起こしているのだ、このことこそ、日本が抱える問題の本質である、個々の細かい対処でなく、基本の方向付けを誤っているために、こうした事態に陥っている。

液晶テレビで大惨敗、シャープ、ソニー、パナソニックと確か赤字が続いていますよね。今やサムスンを筆頭に海外のメーカーでも安くていいものが手に入ります。同じような性能でしたらやっぱり安さを見てしまいます。

iPhoneの原型はNTTドコモのiモードだ、タッチパネル方式もゼロックスが開発したものであり、アップルはそれを真似ただけだ、さまざまな技術の組み合わせから、従来はなかった新しいコンセプトの製品を作り出したことが、重要なのである。

iPhoneの重要な点は、タッチパネルというよりは、背後にインターネットがあることだ、iPhoneによって、個人レベルでのクラウドコンピューティングが始まっている。


ソニーがスマホで新しい物を作る、というようなニュースを読んで僕はひどくがっかりした記憶があります。ソニーはウォークマンを発明し、庶民のライフスタイルそのものを変えたのです。ソニーは新しい分野を切り拓く存在じゃないんですか?
アップルの快進撃はまさにそこで、庶民のライフスタイルを根本的に変えましたよね。僕はソニーにもiPhoneを根本的に変える何かを期待したいなぁ。

日本にも競争はある、しかし、それは電波の質と価格の競争ではなく、利用者の囲い込み競争だ、これは一見したところ競争に見えるが、クラウド大戦争とは本質的に異質のものである、なぜなら本来の競争は進歩をもたらすが、囲い込みは停滞とガラパゴス化しかもたらさないからだ。

日本の携帯電話産業は競争ではなく、囲い込み。携帯を持たない、捨てる、と言う感覚がなかったから、カメラだの、ワンセグだの、おサイフだの、リモコンだの、ガラパゴス化した、ということです。消費者を飽きさせないため闇雲に機能を追加した結果だったのですね。

自動車をはじめとする多くの分野の企業が、「これからの市場は新興国」と考えている、新興国の市場が成長することは疑いないが、そこで利益を上げられるかどうかは、まったく別問題だ。

新しい産業の構築には、人材が決定的な役割を果たす、1990年代の世界を見ると、外国人がそうした役割を果たした事例が多い、外国人排斥に凝り固まっている日本人の考え方を根本から変えることだ。


これからの市場は新興国。それは分かりきっていること。しかし、日本がそこで利益を上げられるかは別。円高になれば、新興国では日本のモノは高すぎて買えない。昔の日本は円安だったので、日本の高い技術が海外に売られ、成長できました。今はどうするのか?
モノからヒトへ。なのか。

これまでの日本と中国との関係は、「中国で生産された消費財を日本が輸入し、中国に対しては日本が資本財を輸出する」というものであった、ここにおける中国の役割は、単純労働力の供給である。日本が目指すべき方向は、いま中国に出現しつつある新しい世代の能力を活用することである、つまり中国を知識労働者の供給国と見なすことだ。

労働力減少に対する適切な対策とは、外国から労働力を受け入れることである、これは世界標準の考え方だ、日本だけが外国人労働者に固く門を閉ざしている、これはまったく非合理な態度だ。

専門家の採用はもっと広い観点から考え、即戦力を求めないほうがいよい、それよりは企画力や発想力を求めるべきだ、日本企業に足りない部分を補ってもらい、可能性を拡げる、という発想が必要だ。

中国人人材の利点は何か、まずどのような分野であれ、英語力に期待できる、英語力は日本企業が水平分業を実現するためにも必要だ。先端金融も、日本が遅れている分野だ、この分野で中国の教育が格別優れているわけではないが、中国人の英語能力に期待できる面が多い。

イギリスの人口は日本の約半分だが、移民の「出」は日本の6.1倍、移民の「入り」は日本の3.2倍となっている。イギリスが持っている旧植民地との強い関係に相当するものを、日本が持っていないのは事実だ、また、英語が世界語になっているために、グローバリゼーションが進んだ世界でイギリスが有利な立場にいることも事実だ。


最終的に著者が話すのは、移民の受け入れ、「開国」です。日本を世界にもっと広げる、日本人が外に出るばかりでなく外国からの人材を受け入れよう、ということです。確かに文化の違い等でとけ込むまでには時間を要しますが、これはやらなきゃ始まりません。
戦国時代を考えれば、織田信長は比較的キリシタンを容認していった、とありますし、異文化を受け入れる土壌はあるはずです。そもそも日本は古来、渡来人が来ているはずですから、単一民族ばかりではないはずです。

そのためには、今現代、心が貧しい状態の僕らが、他者を受け入れる心を持てるようになることが必要かと考えます。


【編集後記】
本日は経営者モーニングセミナーには不参加です。夕方から担当者会議一件、その後帯広市介護保険審査会に出席します。


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