世界中がかつてなく大きなうねりの中にある今、せめてメンタルだけはシャキッと真っ直ぐに立てておきたいもの……倒れそうだけど。

でも自分含め、みんなよくがんばってますよ。ホントえらいえらい。

 

 

人間にとって最もインパクトの強いニュース、それは〈訃報〉の類です。

 

特に令和に入って、(一方的に)長く親しんできた有名人や、現代社会や文化の礎を築いた“祖”の付く人物が次々と鬼籍に入る流れには、やはり寂しさを覚えます。

 

私世代から見れば、昭和後期のテレビ黄金時代をけん引してきた有名人は、「居るのが当たり前」の、家族みたいな存在です。

 

しかし彼ら彼女らも、気がつくと70代、80代、それ以上に年齢を重ねているわけで……

 

最近ちょっと見ないな、と思っていた人を久々にテレビで見たときのショックは、ちょっと言い表せないものがあるんですよね。

時間は誰にとっても平等だなあと、痛切に感じます。


 


 

 

人の寿命は、誰が決めているのでしょう?

必ずしも年齢順とはならないことを、今さら恨んでも仕方がありません。

 

ならばせめてと、満足のいく身じまいを願ったとしても、いやいやこればっかりはどうにも、という壁にぶち当たり、諦めて考えるのをやめてしまうのが人の常です。

 

でも、そんなことでいいのでしょうか。

 

 

今年に入り、ロシアによるウクライナ侵攻は、現代に生きる世界中の人々に対して、生と死にどう向き合うかを容赦なく突き付けてきました。

 

7月になると、国内では元首相が凶弾に斃れ、また英国では9月にエリザベス女王が70年という治世に幕を下ろしました。

 

その他、現代文化やブランドを築いた著名人の訃報に接するたび、その功績を称えつつ、我々は“偉大な親たち”から後の世を託されたのだという思いを強くします。

 

しかし同時に、有名だろうなかろうと生命の終わりに特別扱いは無いということを、もう一度よく嚙みしめ、肝に銘じておく必要があると思うのです。

 

人気があるから、有名だから、優秀だからといった理由での“特別枠”は、どんなにカネを積んでも手には入れられません。

人は老いて、死ぬ、それが宿命です。例外や忖度はどこにもありません。


 

 

 

 

 

「いかに良く死ぬか」を考えることは、イコール「良く生きること」である、という言葉があります。

ところが現代の日本は、人の死をひたすら見えない場所に遠ざけ、タブーとして覆い隠してしまう風潮が当たり前になっているのが、私は気になって仕方がないのです。

 

 

途方もなく自然な〈死〉という現象を、まるで悪いことであるかのように避け、隠し、人工的な方法で延命を図るため昼夜手を尽くす。

これを是とし、善とみなす日本の社会通念には、どこか病んだものすら感じます。

 

“良い死に方”なんて話題にしようものなら、即「縁起でもない!」と叱られるのがオチでしょうね。

 

 

 

 

どうやら、誰も踏み入ったことのない世界に歩み出したらしい我々には、いま〈死生観の書き換え〉が求められているように思います。

 

人の〈死〉を不健全にタブー視せず、尊厳を込めながら、避けることのできない現象として受け入れることを、あらためて冷静に議論すべきときなのではないでしょうか。

 

 

時代の転換期にあっては、こうした世代交代のニュースはしばらく続くと考えられます。

 

大切なのは、そのたびにいちいち情緒的に大騒ぎせず、理性的でいること。

その上で、心から故人を悼む気持ちを表現すること。

 

これらの姿勢は、“乱世”を乗り切るエネルギーの温存につながるだけではありません。

負の感情に流されて判断を誤ったり、他人の思惑に利用されたりしないためにも、非常に重要な心がけなのです。

私は、そのように思います。


 

 

 

どうあがいても、残念ながらほとんどの人は人生の終わり方を好きに選べません。

しかしこの先は、既存のよくできた制度やルールが明日には機能しなくなる可能性だってあるのです。

 

なのに、日本人は先々の心配ばかりに照準を合わせ、イソイソと準備にいそしむのが大好きときています、やれやれ。

 

後悔したくないのなら、大事なことは今のうちに伝えておいて、我なきあとは他に任せるしかないのです。

これからは特に、そのくらいケセラセラの気構えでいかないとね。

 

 

そこからいくと、さすがはエリザベス女王、偉大さがいっそう際立ちます……

何だかんだでやっぱり、Great

 

Sheila

 

 

Illustrated by Serafina


 

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