
私たちはいうまでもなく、さまざまな人間関係のなかで生活している。
だから、どうしても他人のことが気になる。
そのことを、「菜根譚」では次の三点に絞って考察する。
私たちはどうしても、他人の小過(ちょっとしたあやまち)を、自分だって
やってしまうのに責め立てる。
他人の陰私(隠しておきたいこと)を、自分だってそっとしておいて
もらいたいのに、あばきたてる。
そして、自分の旧悪をねちねちと憶えていられたら困るのに、
他人のそれはいつまでも憶えていて、__あのこと忘れちゃいませんからね、
と他人の弱みを握った気分だ。
しかし、それでは、よき人間性(徳)は育まれず、やはり、人間として
生きるからには、その徳こそ養うべきで、それが、大人の人生作法と
いうものだ。そして、徳を養う三カ条を日常で実践すれば、
もとより人の怨みを買うこともない。
このように、大人の心構えと身の処し方が、そのまま生活の
実利につながっているというのだ。
東洋の知恵
「菜根譚」に学ぶ 多川俊映
東京新聞より抜粋