水曜日のノヴァーリスのつぶやき…

明日は山の特産の赤かぶを大量に仕入れ、販売する日だ。
果たして全部売れるだろうか?

元はと言えば、さる偉いおかたが
「赤かぶを仕入れて売るぞ!」と仰ったのが始まりだった。
発想としては良いと思う。
よその特産品を仕入れ、近くで買えるようにするわけだから。
さながらデパート恒例の大北海道展のようなものだ。
たがしかし……

どこで売るというのだ?
宣伝は?
出たとこ勝負?


現在私達は拠点となる建物を建築中である。
完成は春。
いまは内装工事中。
で、どこで売るの?
建造中の建物の軒先でも借りますか!

宣伝は?
旗?
旗を十本買い付けろ?
わかりました。
赤かぶの旗を十本購入するノヴァーリス。
看板を描いてくれ!
看板ですか?
大きな看板を!
一緒に働く年長の男性が、ホームセンターに行ってペンキ諸々を買ってくる。
軽トラで取りに行くから、軽トラの荷台をコンパネで覆ってくれ!
わかりました! 
同僚がホームセンターへ行って木材諸々を買ってくる。

これ…利益でるか???

既に完売しても収支が怪しい状況。
別の偉いおかた。
「なぁノヴァーリスくん、赤かぶ販売、本当にやらないといけないのか?」
同僚の男性。
「ノヴァーリスさん、利益の点から見て、これ、意味ある事業なん?」
ある地域の年長者。
「それよりほかにやることあるやろ」

みなさん! 
わかってます!
みなさんの仰る通りです!
収支を考えたら、やらないほうが黒字です!
それでもやりたいらしいんです!

果たして明日、どんな結果が待つのか…



金曜日の呟き。
雨だ…昨日の快晴とはうってかわって、凍るような雨。
寒い。
半分ほど残った赤かぶ。
どうしよう。

直売当日の朝は好調だった。
近所の奥様やお嬢様が手伝いにきてくれ、加工品を袋詰めしたり、値段表を書いてくれたり、賑わい、そこに地元の人達がやってきて、どんどん売れていく。
いったん売上は止まり、二時から再び動き始める。
いくつかの主力商品が売り切れる。
いけいけ、頑張れ!
夕方、客足が止まる。
フィニッシュ。
「ノヴァーリスさん、売上はどうや!」
「目標にわずかに届きませんが、まぁまぁです!」
パチパチパチ。

そして金曜日。
あらためて見つめる、半分残った赤かぶたち。
これ、どうすんねん…



雨の中、ひとり店頭に立つ。
ポツポツ売れる。
メディアにも出てるので、県東部から視察にやってくる農家さん。
いろんな人と出会いつつ………

早く売り切れてくれー(涙)