Guten Morgen

週末ノヴァーリスです、おはようございます。



さて大阪から農業をするために富山に移住したノヴァーリス。
毎日毎日仕事に明け暮れる中、友達はほとんどできない。
そんな時、草刈応援で働きにきてくれた「通称親方」が、自分の娘も入っているから、とノヴァーリスを青年団に勧誘する。
のこのこと青年団に入ったノヴァーリスは、そこでようやく友達ができるのであった。


ある同級生の男性がノヴァーリスの隣にやってきた。
「実はオレも兼業農家でね」
聞けばこの人、チューリップさんと同じ地区のかた。R営農組合とすぐ隣の地区で、R営農のことをよく知るという。
「へぇー、ノヴァーリスさん、R営農にいたんだ。オレみんな知り合いだから、みんなのことわかりますよ」
ノヴァーリスにとっては農業の最初の一歩を踏み出させてくれた人達、途端に懐かしい気持ちになる。
「あそこもみんな仲はいいんだけど・・・でも理事の子は無経験でパッと入ってきてもいきなり理事、従業員は何十年勤めても一般従業員のまま。そういうところが辛いって声は聞くなぁ」
即座に一人の先輩の顔が浮かんだ。若手主体のR営農の中で、唯一年長者のあのかただ。
まだ農業のことをほとんど知らなかったノヴァーリスは、このとき初めて農業の問題点の一つに触れた。

理事の子は理事。
従業員は何十年勤めても従業員。


しかしこれは別に農業界だけに限ったことではない。
社長の子はいずれ社長になるではないか。
そんなの当たり前である。
農業界において何が問題なのか。

問題の一つは成り立ちにある。
営農組合とは農地を持った庄屋の集まりであるがゆえに、営農の親方は村社会においてもリーダーとして求められる。
営農の理事にはなれても、村のリーダーにはいきなりはなれないものである。
もう一つは組織の小ささ
営農組合で働く人間は、規模がどの程度であれ、多くは十人前後である。その中に理事が最低三人はいるので、経営者の比率が高い。



「あんたまだT農園で仕事頑張ってんの?」
ある夜、みんなで集まっていたとき、不意に親方のお嬢が話しかけてきた。
「うん、頑張ってるよ」
「えらいねぇ。うちのハゲ親父、家ではよくT農園の社長さん? のこと、全然働かない人だって言ってたから。ノヴァーリスくんはよく頑張っとっちゃ、って」
「あら、それは嬉しい。今は稲刈りとかやってるんだけど、慣れへんからクタクタ」
「稲刈りってどんなんするの?」
「コンバインってでっかい機械でゴォォォ! って稲を刈っていくんよ。んでコンバインの中にお米がいっぱいに貯まったらさ、ダンプに移し替えるんだけど、そんとき一回コンバインのぽっぽの先端が空のほう向いてさ、なんか青空が広がって、宇宙! って感じがするねん」
「・・・・・・はぁ・・・・・・そりゃよかったね」

お嬢はいつもこんな感じであった。
いつもお嬢と一緒にいる女性がいた。和やかなおっとりした感じのかた。
聞けばS町の元町長の孫娘だという・・・
町には銅像まで建っている。権力者である。
本人はおっとり系だけど。

その町長の孫娘から教えられた。
「今度会館でイベントがあるよ。なんか私もよく知らないんだけど、色んな人が集まって、うちらも参加できる人はみんな参加して、市長とかも来て、楽しくやるらしいから、ノヴァーリスさんもおいでよ」
市長と会える・・・?

ノヴァーリス、俄然やる気出てきました!