Guten Tag
金曜日のノヴァーリスです、こんにちは。
就農日記第二部R営農組合篇です。

の前に今回紹介するのはドイツ最大の哲学者の一人とも呼ばれるルティン・ハイデッガーー

「空間が主観のうちにあるわけでも、世界が空間のうちにあるわけでもない。現存在を構成する世界内存在が空間を開示したかぎりでは、空間はむしろ世界の「内」にある」(存在と時間)

皆さんわかります? 
これだけ抜き読みしても、僕にはほとんどわかりません。
この一文を理解するためには「世界内存在」「現存在」という言葉をなんとなくでも理解しておかねばなりません。
存在と時間をドイツ語で一文ずつ読みたいという夢があるのですが、誰かドイツに行った時に僕に買ってきてくれませんかね?存在と時間』
 

 



さて、ノヴァーリスがR営農組合で研修をしている間に、組合には新しい仲間がやってきます。
覚えていますか?
公社の人がノヴァーリスをR営農組合に就職させようとしているまさにそのとき、組合は一人の採用を決めてしまい、枠がなくなってしまいました。
その、新人さんです。
「明日から新人くるぞ」
二十歳そこそこの女の子が来るというので、男子達は少し心が高揚しているようでした。
そして当日の朝・・・


「さぁ、今日も頑張ろうか・・・」
男子達の顔には表情がありませんでした。


まぁまぁ、それはさておき。
彼女は僕の農業同期生ということで、少し紹介しておきます。
高校卒業後、紡績工場に勤めていたのですが、隣市にある実家が大きな農家ということで農業に興味がわき、R営農組合へと就職をしたとのことでした。
高校時代は柔道部、がっしりした体格ですが、趣味は料理お菓子作りが得意です。
組合のりんごを使ったアップルパイは、本物のりんごと、彼女の腕が溶け合い、これまで食べたどのアップルパイより美味しかった。
大阪屋ショップで買ってきたパンを毎朝食べていた僕は、彼女の作ったリンゴジャムに大変お世話になりました。


さて、彼女も僕も農業一年生ということで、全く何も知りませんから、一緒に仕事をする機会に多く恵まれました。
また富山弁の多くを彼女に学びました。
「富山弁の代表的なものに、何がありますか?」
彼女なぁん、ですかね」
「なぁん? そういえばみんな言ってる! えっ、あれ方言なの? どういう意味?」
彼女「なんていうか・・・否定の言葉、でしょうか」
「じゃああの、なんなんなんなん! ななななな! っていう連打も?」
彼女「なぁん、の変化系ですね」
心底聞いておいてよかった、と思いました。それまで確かに「なぁん」を聞く機会は多かったけれど「うーん」「せやなぁ」みたいな、考えてる最中の言葉、みたいに思っていたので、「違うよ」みたいなニュアンスが入っているとは全く思っていなかったから、知っていると知らないでは円滑なコミュニケーションがとれないところでした。
そんな彼女について残念なことですが、数年後、結婚してR営農組合を退職したとのことです。

経営者にとっては、どちらがいいのでしょうか?
数年単位で若い人が入ってきて、辞めていく・・・人件費の高騰はおさえられます。
しかし最初の数年は働きながら学んでいると思えば、いよいよ基礎編を終えて応用編に入っていく段階で辞めていくわけです。

 

特に出産のある女性農業者のいる経営体には、よくよく考えるべき事柄です。
育休中の手当については一年から二年間、支給されることになっています。

しかし十人前後の小規模の会社だとどうでしょう?

仕事が回らず、新たな雇用で乗り切ろうとするかもしれません。

育休から復帰したとき、定員オーバーとなり、経営を圧迫…よくあるパターンです。

また農業という仕事は職業柄、農繁期には土日祝日返上で働くことがありますが、日祝は保育園では対応できません

結果退職せざるをえなくなってしまうとすれば、残念なことです。

だからといって、男性の育休は認めないとか、女性はそもそも雇用しないとか言っているようでは、農業界はいつまでも安土桃山時代のままです。

 

繰り返しますが、規模の大きな会社と違い、農業の会社は元々規模も小さく、構成員の数が小さいので、問題が顕在化しやすいのです。
国や県は、女性が入ってきやすい農業と言っていますが、入ってきたあとのことをどこまで考えているでしょうか?


僕は常々「三つの優しい農業」を考えています。
そのうちの一つは「人に優しい農業」です。
女性、育児中の人、元気な高齢者、社会や学校で生きづらい人、障害のある人・・・
様々な人を受け入れられるのが農業の特徴です。
僕はそんな皆さんが積極的に農を営める場を整えていきたい。


あと一週間で穂が出てくる稲の様子