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ノヴァーリスの秘密の小部屋へようこそ。
今回も現在の物語が始まります。
そっとひらいて、みてごらん
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次にノヴァーリスが会ったのは、あるとても素晴らしい御方だった。
仮に「先生」と呼ぼう。
先生は僕や福タロウのような、わけのわからない人間のためにも門を開き、迎え入れ、話を聞いてくれた。
話し方はとても論理的であり、わからない部分があった場合には聞き流さず「それはどういうこと?」と納得のいくまで質問を繰り返し「申し訳ない、話は戻してさっきの部分だけど」ととことん考え抜く御方であった。
正しい考え方を持ち、公正な判断をなさった。
素晴らしい時間であった。
僕たちは富山県に農業大学が必要と感じていた。
知事は農業高校を元気にすると言っていたが、高校のあとがない。
もっと学びたい、もっと専門的に農を知りたいと思っても、農大なき富山県には受け皿がない。
他県に進学した学生が富山県に戻ってきてくれればいいが、そのまま他所の地で就職してしまえば、富山県の人口減に繋がるだろう。富山県の課題として、学びの場が少ないというのはあるだろう。
そしてもう一つの問題、農業を職業にした場合、先生となるのはJAや県の職員である。
しかし彼らも抱えている仕事は多く、異動もあるので長期的な課題や研究と向き合いにくい。学びと研究の機関として農大があればいいのに、と僕たちは考えており、農大に詳しい先生の元を訪ねたのである。
僕たちが会社の数字を知らないと言うと、すぐに先生は仰った。
「それおかしいでしょう? 数字を知らなくてどうやって仕事するのですか? 極端な話、経営陣が、会社の状態が苦しいからみんなの給料をカットしますと言ってカットしたけど、実は会社の経営は苦しくなかった、そういうことが可能ということでしょう?」
「会社というのは公の器ですよ。それを個人が甘い汁を吸う道具にしてはいけません」
「もし経営陣と君の意見が異なり、それが承服できないところまでいった場合、君には二つの道があります。出るか、立ち上げるか、です」
どれもまさにその通りである。普遍性のある言葉である。
「それで、君はどういう農業を行いたいのですか?」
「ご存知の通り、私の地区には営農組合がありません。それは宅地がどんどん増えていることとも関係しています。宅地が増えることと比例して、農地はどんどん減っていく。現在5~6社の耕作団体が入って耕作して、なんとかなっている状況なので、地区としてはこれで良いと思っているのでしょう。けれど本当にそうでしょうか? 私の地区は旧地区の住民と新地区の住民に交流は少なく、温度差もあり、それをなんとか祭りで繋げていますが、農業あっての祭りのはずです。農業のない祭りはいつか廃れます。私はまちづくり、地域の課題を解決していくためにも農業は必要だと思います、なぜなら農業の課題と地域の課題は多くの場合、重なっているからなのですが、そのなかで多くの住民が住んでいるというメリットを活かして都市近郊農業のような野菜の生産・直売と観光果樹園、特別栽培米の農業を行おうと思っているのです」
「なるほど、地区の課題と君の抱える問題意識が通じ合っているわけですね。そして君の考える団体はそれを解消する努力ができる、と。いいじゃないですか! 市役所には行きましたか? 援助が全くないということはないと思います。それから私の知る何人かに連絡をとってみましょう。広く、地域の人に相談しなさい。地域の人の気持ちというものもあります。みんなの気持ちを汲み取って、良い地域にして下さい」
僕たちは背中を押されたようで、心強い気持ちで先生の家をあとにした。
次に会ったのは、ノヴァーリスの地域の顔役の人である。
石川富山には農業を学べる大学がない。福井には福井県立大という農業に強い大学があるが、北陸三県で農業を学べるのは、そこだけである。北陸三県を一つの州と捉えたとき、北陸州の農業を学びたい学生がみんな福井県立大に進学しているかと言えば、残念ながらそうではない。
ノヴァーリスの農業観も、この段階ではまだまとまっていないような印象を受ける。
はてさて、このあとどうなるのでしょうか?
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Gute Nacht
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