政府目標の6割 収量・面積とも課題

 

政府が増量を目指す大豆の収穫量が足踏み状態にある。 農水省の調査によると、2020年産は21万8900㌧で、前年比1%の増加にとどまった。 収量が安定せず、作付面積が伸び悩んでいることも影響。 政府の生産努力目標は30年度に34万㌧だが、6割の水準にとどまる。目標達成には収量・面積の両面でてこ入れが必要だ。

 

 政府は食料・農業・農村基本計画で、主要品目の生産努力目標を設定している。 大豆は作付面積17万㌶、10㌃当たり収量200㌔を前提に、30年度に34万㌧とした。 だが大豆の収穫量は、過去10年で最も多かった17年産でも25万3000㌧。 同年以降は、3年連続で21万㌧台にとどまる。

 20年産の10㌃収量は前年を2㌔上回ったものの、154㌔どまり。作付面積は14万1700㌶で、3年連続で減った。 収穫量は努力目標の64%の水準だ。 米など他の品目と比べても、特に努力目標との差が大きく、同省は「面積も10㌃収量も足りない」 (穀物課)と受け止める。

 10㌃収量は、豊凶による変動が大きい。 過去10年間の最高は12年産の180㌔だが、近年は150㌔前後で推移している。 不安定な収量は実需者が国産大豆を敬遠する要因になっており、輸入品からの需要奪還に向けても安定が欠かせない。

 作付面積も増えていない。16、17年産では15万㌶程度だったが、米価の回復に伴い、転作大豆から主食用米に回帰した影響もあるとみられる。米需給が緩和局面となる中、転作作物としてどう推進するかが課題となる。

 同省は20年度第3次補正予算で、主食用米から大豆などへの作付け転換を捉す「水田リノベーション事業」を用意。 同予算と21年度予算では、技術導入などを支援して安定生産を後押しする「水田麦・大豆産地生産性向上事業(麦豆プロ事業)」も措置した。 同事業は5月14日まで2次募集している。

 

 

引用元 日本農業新聞 2021.04.17