Guten Tag

金曜日のノヴァーリスです、こんにちは。
今回は番外編の後編。
農を営む人にインタビューするシリーズ。
僕の友人N氏をゲストに招いた後編です。
 

僕「N氏といえば、野菜の種をとって、その種をまた翌年もまいていってるという、ある種、僕の目標としている農業をしてるけど、そのへんはどうかな?」
N「種はね、採り続けると、血が濃くなってって、弱くなるんやわ」
僕「そうなん?純血種!みたいに強くなるイメージあるけど」
N「それは逆やね。とにかく弱くなる。虫に食べられてぼろぼろやし、病気にも弱い。去年はトマトが全滅やった。全滅なんてしょっちゅうや」
僕「でも防除は?」
N「しない(笑)ぼろぼろやし少ししかとれへんけど、めちゃくちゃおいしい。そのことに価値を置いてくれる人が、少なからずいる。自分は趣味の園芸家やからこんなことしてるけど、プロ農家にはよう勧めん。どう考えてるん?」
僕「僕は何でもそうやけど、両輪がないと進まないと思ってる。野菜に関してもそう、F1使ってしっかり生産することも大事、一方で在来種の野菜を作って、種とって、これがとにかくおいしくて、そういう野菜も作りたい」
N「バランスが大事やと思う。在来種だけにこだわると、全部全滅、になったとき怖い。ちなみにね、アブラナ科の野菜の種なんかは、採らへんかな」
僕「キャベツ、大根、小松菜、ブロッコリー、白菜、チンゲンサイ。種ちっちゃいから?」
N「まじるし、ばらけるんやわ。近くにあると、それだけで受粉してもーて、別のものになる。そして品質めちゃくちゃばらける。だからアブラナ科の種は買うようにしてる。F1も悪いものではないから」
僕「いやいや、F1は人口減少の世界戦略やで(笑)」
N「そういう噂もあるわな(笑)。在来種の種が欲しかったら、埼玉にある種苗会社で買えるよ。それ以外にも、ホームセンターにもあることも」
僕「えぇっ!あるかなぁ」
N「パッケージにサカタ交配、とかって書いてあると思うねんけど、これが書いてないときは在来種やわ。あと、F1って技術的に難しいもの作ってるから高いのね。だから同じものが、例えばブロッコリーの種が二種類あって、一つが百円、もう一方が二百円やったら、安い方は在来種の可能性がある」
僕「なるほど。まじまじと見たことなかったなぁ」
N「F1も採り続けると固定することもあるねんで」
僕「一般的には五年かかるっていうよね。んで、二年目三年目は大暴れして、ほとんど成らないって」
N「うん。知り合いで桃太郎トマトに恋してもて、八年かけて固定させた人おるわ」
僕「恐るべき執念。N氏は?」
N「ニンジンが好きでね、十年種採ってる」
僕「十年!すごいな。ところでN氏のところでは種の交換会を開いてますな。盛り上がりはどんな感じ?」
N「これはね、毎回大盛況。でもほとんどプロ農家はこないよ。そのかわり変わり者はたくさんくるから、おもろい人には出会える」
僕「種はやっぱり冷蔵庫で保管すんの?」
N「冷蔵庫で保管することもあるし、納屋に置いとくこともある。ただ、種も生きているから、やっぱり期限があって、一年で使うことが望ましい。よく問題になるのが、種が保管できないのよ。たくさんありすぎて、ごちゃごちゃして、これなんの種やっけ?って。けっこう種の保管がしんどくなってきてて、でも交換会するようになって、そこまで気ぃ張って保管せんでえぇって思ったら、楽になった。人から貰えるし。ここに来る人、みんなそんな感じ。みんなでシェア」
僕「それ、いいなぁ。富山でも種採って交換会したら、みんなの農力が少しあがるような気がするなぁ。最後に、改正種苗法についてはどう思ってる?」
N「うーん、嫌な流れやよなぁ。まだよくわからんけど、シャインマスカットとか特殊な品種だけやって噂もあるやん? うちらが種採りしてるんは、基本的な野菜の種やから、現段階ではひっかかれへんと思う。それでも流れとしては嫌なんで、注視していことは思てます」
僕「ですね。今日はありがとう。また色々教えて下さい」
N「こちらこそ、ありがとう。お互い頑張りましょう」


 以上農業対談でした。
金曜日のノヴァーリスに農業の話を聞いて欲しい、対談したい人、募集中です。
ではでは。
チュス。