毎日平凡な日々が過ぎていく。

 

東京の大学を卒業し、

社会に出てからずっとスーツと名刺で生きてきた。

今から10年前までは…

時には24h、結果を出すために仕事をしていることもあった。

趣味はなんですか、と聞かれれば

「仕事」と答えるほどだった。

 

仕事は大変だったけど、生きている感じはあった。

社会でいろんな仕事を見て

いろんな人との出会いがあった。

 

もともと、人と話すこと、人そのものが好きなほうなんだと思う。

10年前までは…

 

スーツを脱いで今、俺は田んぼで作業をしている。

何の作業指示もないため、

他の人の作業を見よう見まねで仕事している。ただ、なんとなく。

 

横で作業しているのは20代のちょっとヤンチャなヤツ。

彼もまた、色々経験してきた。

中学を出てから社会に飛び出して、

いろんな言葉を浴びながら戦ってきたんだと思う。

さも、人懐こい犬が野犬になって、俺を見ているようだ。

ビミョーな距離。

 

農業の世界は入った順番で決まる。

年齢、能力、学歴…一切関係ない。

 

俺の働いている会社は、農業では珍しく、福利厚生もしっかりしている。

そのためか、農業に夢を抱いて若者がやってくることが多い。

だが、長続きはしない。何も言わず去っていく。

 

なぜなら、農業の社会は

一般の人が今も経験している常識とは対極の社会だからだ。

 

下町ロケットというテレビドラマを見たことがある方は

何となくわかるかもしれない。

その中で、農業の話はいいところをついている。

池井戸潤はリアリストだと思う。

ちなみに有名な『半沢直樹』シリーズの銀行の話は納得。

実際、俺も経験したことがある。

 

今日も立山連峰が美しい。

 

麦わら帽をかぶりながら、大地に立っている。