こんにちは。
「金曜日のノヴァーリス」です。
毎週金曜日は農業をするために移住した男の話です。
非農家に生まれた人間が農業に興味を持つに至るには、
農業に関心はなくとも、食べ物に関心を抱くようになるには、
家族にアレルギーを持つ人がいたり、
人は何かをきっかけに、
はたと手を止め、考える。
健康診断で思いもよらず数値が良くなかったとしたら、
食生活を見直すのではないか。
ラーメンをやめよう、
睡眠の二時間以上前に食事を終えよう、
僕が食に関心を持つに至った原因は、父親の病気である。
近しい人の死に際して、やれることは全てやったという気持ちと、
後悔の気持ちが押し寄せる中、僕はこんな風に考えた。
では、体に良い食事とは何だろう。
わからない。三度の食事をしっかりとることなのか、
わからないが、このとき僕は少なくともこう考えた。
作った人の顔が見える食材が、安心な食材である。
食材自身の安全性はわからなくとも、顔のわかるその人、
そうして僕は顔のわかる生産者、安心安全な食物を作るひと、
農業に興味を持つには、もう一つ理由がある。
だいたいロマン主義者というのは自然が大好きである。
ところが学生の頃は、自然、というとなんとなく好印象を抱くが、
ヘンリー・デイヴィッド・ソローの『ウォールデン 森の生活』なんて読んでしまったら、
ムリムリムリムリ絶対ムリ!
ところが単純なもので、いざ農業を始めようと思うと、
それで僕の目標は決まった。
安心安全な食材を作る。
=お医者さんは病気になった人を助けるが、
文芸作品を書くように作物をつくり、
主題は決まった。
さあ始めよう。
農を営もう。