「私は桜より梅が好きです」
そう言って桜の話を塗り替えた人がいた。
あの人は彼女に胸を打たれてた。
言葉を知らない若い私は
もやもやと
言葉を失い
彼女を見つめるあの人を見てた。
桜だけが好きなわけじゃない
梅が優れてるわけじゃない
でも
あの人はもう私だけを好きなわけじゃない
疲れた私は天真爛漫 笑顔で去った
今なら分かるのにな
比べることが愚かだと
桜も梅も同じだと
同じはかない花なんだと
散る姿のはかない桜
消えるのはかない梅
遠い
つかめない
そのはかなさに同じ気持ちを持つのだと
あの人にとって
去った私ははかないだろうが
はかないだけが私じゃない
ずっと散らないことも
香り続けることも
はたまた
花弁一枚残さず
香りも一瞬にして
消えることも
意思と気持ちでできるのだ
霧散
