しんとした冬の夜。
こたつで寝る前のひと勝負。



長い髪を後ろで束ねた私の手元は鹿と蝶。
猪がくれば猪鹿蝶。
猪と萩を1枚、持ってるんだ。
場に出せばこちらのもの。
だけど私は焦らない。



奴は月と鶴を取っている。
桜か鳳凰を取って三光狙いか、姑息に月見酒か。



手札が残り2枚となったところで、
私は意を決して萩を出す。
私の意図が、場に現れる。
そしてめくった手札は、桜!
奴の目玉が大きく動いた。



加えていたマイルドセブンを灰皿に押し付けると、
パシンと音を立てて、奴は、幕を桜にぶつけた。
三光を取られた。もうだめだ。
そして手札をめくると、

それは鳳凰



息をつめてふたり、場の札を見る。
四光の誉れに目がくらみ、奴がまぶたを薄くとじる。
こい、こい!と私は心の中で叫ぶ。



「こいこい!」
相手は、言った。
四光への欲を出し、リスクをかけた。



私はにやっと笑って、猪を萩にぶつける。
「猪鹿蝶!」



私の勝ちだ。
「くそう」
相手は悔しそうにつぶやいて、
悲しそうにうなだれる。



そんな風に嘆いてもだめなのよ。
四光で得るものは確かに魅力的だが
私は猪鹿蝶レベルの素敵な事を、堪能させてもらう。



さあ、可愛い君。
今夜は私の言うことを聞くんだよ。