炎芸術の別冊、「陶芸家150人 2020年 現代日本の精鋭たち」

に載せていただきました。(発刊は10月7日)

 

こうした本で扱って頂けるのはとてもありがたいです。こういう時代がきたんだなあと感慨深くもあります。

 

いわゆる「陶芸」とは距離をおきながら、自身の思う「やきもの」表現を追求してきた結果、「この作品は陶芸ではない」という評価を永らくいただいてきました。もちろん僕自身望んでのことであったのでカテゴライズについては全く気にならなかったですが、「やきものでやることに意味があるのか」という言葉に対しては激しく抵抗してきました。当然意味があります、と。

 

僕のスタンスとしては、必ずしもやきもので「陶芸作品」を作る必要はない、またやきもので作れば「陶芸作品」になるとは考えていません。純粋な造形素材として「陶素材」を捉え他の素材と比較、相対化し、その中でのメリット、デメリットを踏まえた上で有効性を最大限に活かし「陶芸作品」としてどうかという視点を超えたところで、「アート作品」としてどうかという、より広い視点に晒されるステージで戦っていきたいというのが目標でした。僕は、やきものを扱う作家ではあるけれど、いわゆる「陶芸作品」を作る作家ではないと考えています。つまり「陶芸家」ではない(ややこしいですが単に言葉の問題です)。じゃあなんだ、と言われれば仕方ないので「ceramist」「ceramic sculputor」「ceramic artist」「陶造形家」としてきました。

 

誤解のないように一言添えると、陶芸を下に見ているわけではありません。やはり陶芸には陶芸の面白さがあります。日本の陶芸には日本の陶芸の面白さがあり、海外の陶芸には海外の陶芸の面白さがあります。その見方や面白さを理解しつつ、僕自身はより広い世界で戦いたいと思ってコツコツとやってきました。

 

とりあえず今回は(定義や概念やイメージの問題はあるけれども)、やきものを扱う作家であれば「陶芸家」という括りに入れてしまえ(面倒なので)、ということで入れてもらっています。こうして取り上げていただいたことは本当に光栄です。

 

現在の「現代陶芸」の状況におけるキーワードは「多様化」です。炎芸術No.143号「新・現代陶芸入門」と別冊「陶芸家150人」を併せて読めば、現在の陶芸界の状況がよく理解できると思います。ただここには取り上げられてはいない作家でアート寄りのステージで活躍されている方達を僕はまだまだ知っています。また「表現」の世界だけでなく日常の器などのいわゆるクラフトやデザインの世界で活躍している作家も大勢います。ここで取り上げられている以上に実際の状況は「多様化」しているといえるでしょう。このような現在の状況について、その経緯についても、僕なりの見解があります。制作者の立場だからこそ見えてくるものがあります。また今後この業界がどのように動いて行くのかについても嫌が応にも考えさせられます。明るい面もあれば暗い面もあります。わずかでも明るい面が増えるよう僕にできることはやって行こうと思っています。

 

陶芸ファンの方は間違いなく「150人」は手にされると思いますが、僕の作品は「?」に感じられるでしょう。それでも陶芸的鑑賞視点からみても興味深くみてもらえるよう工夫はしているつもりです。この本を見て「?」に思われた方にこそ、ぜひ実物を実際に見ていただきたいです。