日本では一般に”トライブ”と呼ばれているハードコアテクノのスタイルがあります。
最近出たNC帝國さんのTribecore Tシャツや、Shot Bass IdiotsのMixCDなどで新たにトライブに興味をもった方が増えてきたのではないかと思います。
さて、トライブについて掘りだすと、まずTribeというキーワードだけでは違うものばっかり出てきて調べられない!といった事や、日本で言われている(主にプレイされている)トライブと、フランスで言われているTribeがどうも違うようだ、という事、トライブの別名はハードテックって言うみたいだけどハードテックとトライブってどう違うの???という風になると思います。
そこで、今回はトライブの表記の違いについてまとめました。
ソース1 - Quelle différence entre la tribe, hardcore et hardtek ?
(TribeとHardcore(Frenchcore)とHardtekの違いってなに???)
より
回答者
Belka – AstroFoniK(Tribe, Tribecoreレーベル会社所属アーティスト)
http://soundcloud.com/belka
最初期のアシッドテクノ系無料パーティ族がかけていた音は、Spiral TribeというアーティストからTribeと名づけられた。同時期のそれ系のアーティストはUnit Moebius, FKY, 初期のFloxytekなど。
2003~2005年ごろTribeがhardtekやHardfloor(Hardtek Dancefloorの短縮形で、Narkotek, Neurokontrol, Harry Potard, Weasel Bustersなどのアーティストがやっているような音楽)に進化した。
Hardcore(Frenchcore)はHardtek程早く、そして遅いのもある。それはRadium, Micropoint, Liza N Eliaz, Manu Le Malinなどが、初期のスカスカガバから音がツメツメの高密度のスタイルに進化させた。
ここで速度を示すと、
昔ながらのTribe/Hardtek 150~190BPM
Hardtek/Hardfloor 180~205BPM
Hardcore 160~250
Speedcore/Breakcore 240~無限
ノイズっぽく聞こえるスタイルもあるけれど、ドラムンベースのようにBPM160が(170台に)加速していったみたいに、180~190の曲をYoutubeで聴いてみると音が変化していくのがわかると思う。でもそれは良い悪いではなく、すべての音楽は進歩していくものだ。
少しずつではあるが、HardtekやHardcoreはダンスするためにより踊れる、新しい音やリミックスを出していくだろう。
ソース2 – Hardtek, Tribe, Tribecore, Hardcore... Confusion.
(ハードテックとかトライブとかトライブコアとかハードコアとかいっぱい名称あって混乱するんだけど) #48181
より
回答者
Toolbox records (フランスのテクノ系レコード屋)
http://www.toolboxrecords.com/
俺の考えだから間違ってたらごめんネ(´・ω・`)
"Style" はレーベル各に違う。
レコード屋だから分類するのが仕事なんだけど、あるスタイルに入ってる要素はほかのスタイルにも入っていて、これが入っているからこの曲はこのスタイルです!!!って言えないから困ってる(´・ω・`)
時間がたつにつれてますます混ざっていって、もうなにがなんやらというのが正直な所。
1994年にイギリス産のHard Technoのレコードを45回転で回したら、Hardtekと呼ばれるようになった。そのうちそれが普通になって、33回転で同じ曲の速さになっていった。それはTribeと呼ばれるようになった。
そしたらMicropointってRadiumとAl coreのユニットが出てきて、Frenchcoreのスタイルを”発見”した。当時はインダストリアルハードコアと見なされていたが、それとは分化していった。
それからHardtekは、フランス南部でより盛り上げるために激しい音に変化していったところ、
そのスタイルを北部の連中がHardFloorと言い出した。
そのうちにBPM190のHardtekはNarkotekとAstroFoniKのようなTribecoreになっていったんだ。
音の傾向の話なんだけど、ダークな奴もあるし、ハッピーでバカ・アホな感じの奴、80,90年代あるいは他ジャンルのBPM80~90くらいの楽曲のブートレグがある。スタイルはそういった音作りだけじゃなく、時期や世代によっても違うし、速度や作ったハードシンセサイザーによっても違う。(ここら辺は言いすぎかもしれないけど・・・)
とは言えスタイルは小さな違いしかないから、あんまり厳密にあーだこーだ言わないほうがいいと思うよ(´・ω・`)
まとめ
シーンの最前線にいる人間も呼び方について表記揺れ/あやふやな所が多いみたいですね。
上記と、レコ屋についているタグ等を見てきた個人的な経験を合わせると、
・HardtekはTribeだけの事を指す場合、Tribecoreだけを指す場合や、Tribe, Tribecore, HardFloorすべてを含む場合もある。
・Tribeは一般的なHardtechnoより速く、ネタが入ったり、AcidなこともあるHardtechno。
La Manade - Mario
・HardFloor(Hardtek Dancefloor)はTribeをより速く激しくして、かつTechno寄りのミニマルさを持つスタイル。
Floxytek – Hands Up
・TribecoreはHardFloorにネタが入ってきたりして、曲中の展開が多くなったスタイル。かなりFrenchcoreに近いものもある。
Dominus(Billx Remix) - Floxytek
という感じで分けられているのかなという印象です。
また、各アーティストが積極的に他ジャンルの音を取り入れていっているので、(例えばFloxytekやAlrykのFidget House→Fidgetcore、VandalのRaggatekなど)ますますカオス化が進んでいます。
なのでどこからどこまでこのジャンルというのは本当にあやふやで、あまりごちゃごちゃ分ける意味も無いですが、新たにTribe, Tribecoreに興味を持った方がレコード屋やyoutube等で調べる際に混乱しないよう(日本ではTribeもTribecoreもHardfloorもHardtekもすべてトライブと呼ばれていますが、150台の最初期のものから200台の最高速スタイルまで含まれるので話が食い違ったり、探しにくいので)、
BPM190くらいのはTribecore、150-170くらいのはTribe
で分けるくらいはした方がいいのでは、と思います。
ソースや翻訳が間違ってる!!ここはこうだぜ!!!
みたいなのがあればTwitter等でお教えください。
調査, 文責 @Forgetek
http://soundcloud.com/forgetek
翻訳, 監査 @OttikiCharlie
http://soundcloud.com/ottikicharlie
手前味噌ですが、よかったら僕のTribecore MIXとチャーリーの作品も聞いてみてください。
みなさんが楽しくテクノを聞く手助けとなる事を祈っています。
注釈
・TribeとTribecoreの違いはyoutubeを掘るより
http://www.undergroundtekno.com/
のHardtek/TribeとTribecore/HardFloorを参照すると良く判ると思います。
・TribeからTribecoreへの変遷はAstroFoniK – AstroboyシリーズやFree Style Listen – Architekシリーズなどを順に追っていくと分かりやすいですね。
beatport - Astroboy
Undergroundtekno - Architek
・ちなみにチェコのシーンではTribeに相当するスタイルはTekno, Tribecoreに相当するスタイルがTekcoreと呼ばれているようです。これはFaceBookでチェコのイベントを見るとそういった表記になっていますが、明確な違いを示したソースは発見できていません。