バニシング IN 60 [DVD]
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監督・製作・原案・脚本・出演:H・B・ハリッキー

出演:エレノア

    マリオン・ブシア

    ジェリー・ドージラーダ

    ジェームズ・マッキンタイア

1974年アメリカ映画


 走れ、黄色のマスタング・エレノア!
 警官の追撃交わして地の果てまで突っ走れ!


 アメリカの三大自動車メーカーの不振が毎日のようにニュースで報じられている昨今でありますが、そんな今だからこそ、こういった映画をハリウッドは作るべきなんじゃないですかね?
 この映画の主人公はアメリカの自動車メーカービッグスリーの一角を担うフォード・モーター社のマスタング。「車が主役?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、オープニングクレジットで真っ先に出演者の名前として挙がるのがエレノア(劇中で使われる黄色のマスタングの呼び名)なのだから間違いありません。
 
 僕は仕事やプライベートで車に乗る機会がありますが、「燃費よく走れば良い」って感じで車自体に深い関心はありませんでした。しかし、この映画のエレノアの勇姿を観てアメ車って意外に良いんじゃないかなって思ってしまいました。追撃するパトカーに何度ぶつかっても健気に走り続けるその姿!国産車よりも事故に巻き込まれた時の耐久性はあるんじゃないかなって。
 それにエンジン音も格好良いんですよね。ブォーーーンって音に張りがあって。車好きの人がエンジン音にこだわるというのも何となく解るような気すらします。同時に車好きの人が「電気自動車になると多分静かな車になるんだろうな」と妙に寂しそうに語ったことのその意味も・・・。


 確かにストーリー自体は有って無きが如し。一週間で40台の車を盗むように依頼された自動車の窃盗団が、最後の一台黄色のマスタング(通称エレノア)を盗んだ際に警察に追われることとなり街中で激しいカーチェイスを繰り広げる。
 この映画に出てくる人間自体にはあまり同情及び感情移入は出来ません。車を盗んだ挙句街中でのカーチェイスによって何の罪も無い住民達に迷惑を掛けまくるのですから。暴走族が喧しい音をがなりたてながらジグザグ走行すること以上に迷惑だと思うし、罪深いと思う。
 でもこの映画の主人公はあくまで車。そこが徹底しているからこそ四方八方から追突され、ボコボコになりながらも走り続けるその姿が妙な感動を生むのです。


 一応この映画は『60セカンズ』というタイトルでニコラス・ケイジ主演でリメイクされていますが、正直内容を覚えていません。ちゃんと映画館で観ているはずなのに。あまり主演にスターを持ってきてリメイクするのではなく、あくまで車が主役&ノーCGでもう一度ハリウッド製作して欲しい。
 そして一台の車の生き様をスクリーンに焼き付けて欲しい。そうすればきっと何かが観る者の心を掴み、アメリカ自動車業界の浮遊に繋がるはずだ。そう、エレノアが自動車産業を救う・・・のか?

片腕マシンガール [DVD]
 
¥4,242
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監督:井口昇

出演:八代みなせ

    亜沙美

    島津健太郎

    諏訪太郎

2008年日本映画


 復讐は何も生まない。例え大事ななにかを失った者が復讐を成し遂げたとしても、それはスーパー遺族(凄いネーミングだ!)となって自分に降りかかってくる。こうやって復讐は恨みを持つ側と持たれる側双方が死滅するまで永遠と血が流され続けるのです。


 この映画の主人公であるアミ(八代みなせ)は両親をあらぬ殺人容疑をかけられて自殺に追いやられてしまった悲しい過去を持っています。そんな彼女が何よりも大切に思っているのが弟の存在。しかし、その弟が学校でのイジメにより殺されてしまった時、「暴力は何も生まないのよ」と言っていたはずの優しい彼女は人を殺めることを何とも思わない鬼畜へと豹変する。復讐の鬼と化す!


 まぁ、こんな感じでまともに描けば重苦しいストーリーになるはずだし、血で血を洗う復讐劇といえばそうでもある。でも、異常なまでにハイテンションなこの映画からは陰性ではなく陽性反応が検出されました。

 DVDでは本編開始前にふんどし一丁の井口監督自らが「残酷映画の楽しみ方」と題して血飛沫が飛んだら拍手喝采しましょうなんて紹介しています。この事からも解るように残酷描写をみんなでワイワイ騒いで楽しむ。不謹慎かもしれないけれど、それがこの映画の正しい楽しみ方なのでしょう。


 首が飛び、体はバラバラになり、顔面やどてっ腹に大きな穴が開く。顔面に釘を打ったり、指寿司、人間天婦羅(『DOA』の本田博太郎のトンカツを思い出した)に恐怖のドリルブラ!そして噴水のように吹き上がる地飛沫!それらが画面を覆いつくしていく!

 ホラー映画を生理的に受け付けない人にとっては全くダメな映画なのかもしれないけれど、僕は残酷描写を見ながら思わずゲラゲラと笑ってしまった。この映画には不思議と気持ちが悪くなるような生理的な嫌悪感はなく、それこそ本編開始前に流れる「残酷映画の楽しみ方」通りに血飛沫が舞うと「たまや~!」なんて感じで掛け声をあげたくなってしまう妙な爽快感があるのです。

 ピーター・ジャクソン監督の『ブレインデッド』のようなお祭感覚のスプラッター映画と書いてしまうと褒めすぎかな?


 思うにニンジャの末裔のヤクザだとかハットリハンゾーだとか先ほども書いた人間の指をネタにした寿司などアメリカの資本が入ったせいでもあるのかもしれませんが、外国人の考えそうな間違った日本人像をうまくチャカして映画に取り込むことに成功しているように思います。それがこの映画の妙にテンションの高い、現実ではあり得ないスプラッター映画という世界観を作るのに一役買っているでではないでしょうか。

 そして何よりセーラー服に片腕マシンガン!この組み合わせ、最強!これからはセーラー服に機関銃ではなく、セーラー服に片腕マシンガンwithパンチラキック(笑)。片腕マシンガンVS空飛ぶギロチン!

 いやぁ~、ある種の趣向の人間(僕のような)のツボをうまく押さえている映画なのではないでしょうか。


 主演の八代みなせも決して演技はうまくないけれど、時折見せる恨みの目線はなかなか良かったと思います。梶芽衣子に匹敵すると書くとこれまた褒め過ぎかもしれないけれど、これからも復讐のブラッディークイーンを演じて欲しいものであります。


 血みどろで明るく健全(?)な悪趣味バカ映画。

 見せたいのはバカバカしいスプラッター描写で訴えたいことは何もないのかもしれない。

 でも、僕はこういった映画が存在してもそれでいいと思います。

ハプニング (特別編) [DVD]

¥3,080
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監督:M・ナイト・シャマラン
出演:マーク・ウォールバーグ
    ズーイー・デジャネル
    ジョン・レグイザモ
2008年 アメリカ映画 


 街で突如人々の動きが止まった。そして次々と人は自殺を始める。

 フィラデルフィアで教師をしているエリオット(マーク・ウォールバーグ)は原因不明の突然死事件の起きていない地域を目指して逃げようとするのだが、死の連鎖は彼の元にも迫っており・・・(※ネタバレあり)


 ワーナーで放った『レディ・イン・ザ・ウォーター』が大コケ!

 もはや再起不能かと思われたシャマラン先生が20世紀FOXで起死回生のカンバック!

 しかも今回の映画は初のR指定(日本ではPG12指定)!つまり残酷描写満載!


 ということでダークサイドに堕ちていったシャマラン先生が描く戦慄の10大ショック描写を一挙紹介!

 それは・・・



 1 突如かんざし(?)で自分の喉元を突く女性!

 2 見上げれば空から人間が次々と降ってきた!

 3 通行人に連鎖する拳銃自殺事件!

 4 ライオンに自らの腕を食いちぎられる飼育員!

 5 大木に実った首吊り死体という名の果実!

 6 「ちゃんとシートベルトを締めましょう」な衝突事故!

 7 淡々とガラスの破片でリストカット!

 8 自らの体を芝刈り機で刈られる男!

 9 礼儀を知らないガキンチョに忍び寄る銃口!

 10 怪奇!ヘッドバットで窓を叩き割る婆さん!



 恐ろしい!これを見ただけできっと今までのシャマラン先生の映画とは一味も二味も違う事にお気づきになるかと思います。特にオープニングで描かれる工事現場で人が次々と飛び降り自殺を図る描写なんかは世界の終末観を上手く表現しており、心底怖い。と言うか薄気味悪い。

 飛び降り自殺部門では『回路』のワンカット飛び降り自殺を観て以来の衝撃度!このオープニングを観た時点では「きっと今回の映画は大傑作に違いない」と確信したのですが、最終的には「う~ん」と頭を捻ってしまう結果に。


 アメリカでは「この映画はコメディだ!」とボロカスに否定されてしまったようですが、不気味な中にも確かに笑えるところがあるんですよね。

 例えばある家に逃げ込んだ主人公一向。その家は何処かおかしい。なぜならその家のテーブルに置かれていた食事などは全部レストランなどに見本として置いている模造品だったからだ!「変な家だなぁ~」と訝しがる一向。そしてその家を出る。

 するとそこには「モデルルーム」と書かれた看板が立っているのであった!

 ・・・えっ、笑えない?そうですか。

 これぞシャマランらしいハッタリの利いたギャグだと思うのですが・・・。


 シャマラン先生の映画といえば『シックス・センス』のイメージが強いせいか衝撃の結末など謎が謎を呼ぶ展開を期待する向きがあります。そのイメージを逆手に取って怪しいと思った事が実は何でもなかったことで驚かせる!これぞシャマランマジック!これぞシャマランギャグ!


 今回はそんなエッセンスをふんだんに盛り込んでおりまして、ラストに出てくる偏屈婆さんなんかも絶対にラストの展開に何らかの形で絡んでくると思わせておいて、実は何でもない。突如ヘッドバットで窓を割り始める単なるキ○ガイでしたって感じになっているなど、伏線を振るだけ振っておいてオチがない。全てが全て肩すかし。

 結局、この物語で一番肝心な突如人間が自殺を始める現象の原因も完全には明らかにならないまま映画が終わってしまう(一応植物が毒素を出しているとかそんな説明はあるけど)など、謎と大どんでん返しの衝撃を期待する観客を見事に裏切るシャマランギャグが全編で炸裂!


 ネタを振るだけ振っておいて実は何でもありませんでしたという衝撃&カックン!

 そして何よりシャマラン映画に欠かせない俳優シャマランが今回は出演自粛というこの映画一番の驚き!この衝撃が笑いへと昇華!?

 これぞ投げっぱなしジャーマンならぬ、投げっぱなしシャマランだっ!



 とは言え、突如残酷路線へ転向したシャマラン先生。

 この映画では言語感覚と方向感覚が狂う事が死へのサインという事になっていたが、どこか迷走を始めた感のあるシャマラン先生の行き着く先も映画界からの抹殺なんてことはないよね?

 この映画こそがその兆候でないことを心から祈っておりますが・・・。

レクイエム・フォー・ドリーム デラックス版/ジャレッド・レト

¥2,049
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監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:エレン・バースティン
    ジャレッド・レト
    ジェニファー・コネリー
    マーロン・ウェイアンズ
2000年 アメリカ映画

 母サラ(エレン・バースティン)の大好きなテレビを質に入れてはドラッグを買う息子のハリー(ジャレッド・レト)。彼は仕入れたドラッグに混ぜ物をして販売し、それで得たお金で恋人のマリオン(ジェニファー・コネリー)と共にブティックを開く夢を叶えようとしていた。

 一方、サラの元に一本の電話がかかる。それはテレビ出演の依頼の電話だった。舞い上がったサラは息子ハリーの高校卒業の際に着た思い出の赤いドレスでテレビ出演しようと考えるのだが、太ってしまって着ることが出来ない。ダイエットを試みるもなかなか上手く行かず、病院で痩せ薬を処方してもらう事になるのだが・・・。


 遊園地なんかに行くとジェットコースターやフリーフォールなんて高い場所から一気に急降下するアトラクションがありますよね。ああいったアトラクションに人気が集まるという事は何かしら恐怖が快感や開放感に変わる瞬間がそこにあるからなのだと思います。

 この映画はダイエットしてテレビに映り、孤独から脱却したいサラとドラッグの販売で得た金で輝かしい将来を得ようとするハリーの話が夏、秋、冬の三パートで描かれていきます。
 もし僕が勝手に各パートに表題を付けるとするならば「上昇の夏」「転落の秋」そして「絶望の冬」といった感じでしょうか。「夏」パートではドラッグの使用によって順調に夢に近づいていく様が描かれ、秋には少しづつ歯車が狂っていく様とドラッグの副作用が彼らを脅かしていく。そして冬はあまりに無惨な結末が描かれます。
 ドラッグに手を出したために加速度を上げて奈落の底の底へと堕ちていく様を観ているときっと誰もがドラッグの恐怖を痛感できることでしょう。政府広報かなんかで「ダメ絶対!」なんてドラッグの使用を禁止する広告を何度も流すより、この映画を一度学校なんかで流せばその恐ろしさが十分に浸透するような気すらします。
 でも注射器を腕に刺したり、ラストのパーティーがあるので学校で流す事は不可能か、やっぱ・・・。

 ただ、この映画には突き抜けた絶望感と同時にどこか開放感が存在するから不思議です。
 絶望や恐怖と同時に味わう開放感。自分の想定する限界を超えたところで感じる恐怖のせいで脳内麻薬が分泌されるせいなのか、この映画を観る事によって対極にあると思われる感情を同時に体験する事が出来たような気がしました。本当の意味でのジェットコースタームービー!

 そしてあのラストの後に訪れるはずの「春」が彼らにとって「希望の春」となるのかそれとも全然違ったものとなるのかに想いを馳せてしまう。何にせよドラッグに手を出して身を滅ぼした事の代償はそう簡単には拭いきれないのでしょうけど・・・。

 細かいカットを繋ぎあわせた映像を何度も何度も繰り返す事によって中毒性を表現する監督がヒップホップ・モンタージュと名づけた手法やクリント・マンセルが担当した不安を煽るようなスコアがドラッグによって加速する絶望感を効果的に表現していましたね。

 そしてエレン・バースティンの演技!これが凄すぎ!

 徐々に痩せ細り最後には骸骨のような顔つきになってしまいますから・・・あの年でこの役者魂!天晴れです。

 最近出所したばかりの田代まさしにとっては必見の映画ですね。
サイン (Blu-ray Disc)
¥3,689
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監督:M・ナイト・シャマラン
出演:メル・ギブソン
    ホアキン・フェニックス
    アビゲイル・プレスリン
2002年 アメリカ映画


 妻の事故死により信仰を捨てたグラハム(メル・ギブソン)は娘・息子、そして弟のメリル(ホアキン・フェニックス)と共に暮らしていた。

 ある朝目覚めたグラハムはただならぬ予感を感じる。そして家の前に広がるトウモロコシ畑で巨大なミステリーサークルを発見するのであった!

 これは単なる悪戯なのか、それとも何かの兆候(サイン)なのか?

 そして彼は驚くべき真実に直面する・・・(以下、ネタバレあり)


 よく「シャマランは一発屋」だと揶揄する人がいます。

 おそらく『シックス・センス』以外は全部ダメだと言いたいのでしょうが、シャマランは決して一発屋じゃありません!ここで断言します、だってこの『サイン』こそ彼の最高傑作だし!

 『ヴィレッジ』がつまらないことは認めても、サミュエル・L・ジャクソンのいびつなアフロが魅力な『アンブレイカブル』は結構面白かった記憶がある。

 そして自分の映画を腐す憎き映画評論家をブチ殺した挙句、シャマラン自らが演じる作家の書いた本が「世界を変える」と妖精に宣告されるトンデモ映画『レディ・イン・ザ・ウォーター』まで逝ってしまうとこのオレ様節がある種の映画好きには心地よく感じてしまうのです。

 ですから決してシャマラン監督は一発屋などではないと思うのですが・・・如何でしょう?


 で、シャマラン監督作品で一番のお気に入りがこの映画ということになるのですが、いや、何度観ても実に素晴らしいですね。なんと言うのかな、このハッタリのかまし方が僕の心をガッシリ捕えて離しません。

 オープニングのただならぬ緊迫感。映し出されるミステリーサークル。

 このミステリーサークルは誰かの悪戯か、それとも宇宙人からのメッセージなのか?いや待てよ、『シックス・センス』で巧みな大どんでん返しを見せたシャマラン監督のこと。きっとそういったものとは別次元の驚きの結末が用意されているはず。もしかしたらオーソン・ウェルズがラジオ放送した『宇宙戦争』のような内容なのかも・・・だなんて観るものの妄想を膨らませるだけ膨らませていくのです。

 そして巨大に膨らんだ妄想バブルが崩壊する瞬間に立ち会うことになります。


 劇中のテレビレポーターが「皆さん、この映像は作り物ではありません」なんて散々煽っておいてから映し出された衝撃の映像!そこにはオカルト雑誌「ムー」に掲載されているような典型的な宇宙人がそのまま描き出されていたのでした。

 その瞬間僕の頭の中には「パパパ~ン♪パパパパ~ン♪」と「矢追純一UFOスペシャル」のファンファーレが鳴り響くと同時に茫然自失。僕は驚いた。まさか大どんでん返しが全く用意されていない事が大どんでん返しになってしまうとは!これほどの驚きをかつて体験したことはありません。


 これぞシャマランマジック!


 おまけに宇宙人の弱点が水だったなんて「だったら水の惑星・地球を侵略するなよ!何処をリサーチしとんねん」と誰もがツッコミを入れたくなるマヌケなオチが付くあたりも微笑ましく、僕がこの映画を絶対に嫌いになれない一因ともなっているのです。

 全世界でで突発した宇宙人地球侵略事件を片田舎のある一軒家だけを舞台にして描いている点もコジンマリとしていて良いですね。宇宙人に感情を読まれないためにかぶるアルミホイルで出来たトンガリ帽子などは一家に一つ欲しいアイテムであります。


 でも何かを「信じる」というシャマラン映画のテーマはこの映画には最も顕著に見られるのではないでしょうか?