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気がつけば、僕がこれまでアメリカに連れて行った中学生たちの何人かが、数年経った今になってみれば海外へと旅立つようになった。
 
僕がこれまで企画したツアーに同行した中学生の男子たち。あの頃は英語もままならなかったのに、若いと覚えも早いのか、英語も躊躇なく話せるようになっていて、「ワーク&ホリデー」というプログラムを使って数年間も海外へと行ったり、就職して海外勤務を希望したり、海外留学をしてたりと海外へと目が向けられるようになっていった。
 
アメリカの自然や動物やイルカ、優しさや厳しさ、そして大きく視野を広げて、異なった視点を持った多くの人達と繋がる楽しさ。
 
僕のツアーでそんな事を感じて、幾ばかりの影響が彼らの人生に与えられたかと思うと嬉しくなる。
 
 
「あなたの文章は心を動かすチカラがあって、人を感動させる。何年も先には、多くの人が感動するかもしれない。だから、あなたは何があっても書き続けなさい。
あなたの一番最初のファンより」
 
カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校(SFSU)という学校の、海外留学生向けの基礎英語のクラスを受講していた時に、担当の先生から頂いた感想が上記のような内容だった。
 
1ページで良いのに、10ページもの長文の英作文を提出したら、手書きで1ページにビッシリと感想を書いてくれた。
 
書きたいから書いただけなのに、そんな感想を書いてくれるとは思わなくて、感想を何度も読み返しては涙した。
 
「生徒の良いところを見出して、これだけ親身に寄り添って応援してくれる」
そんな経験は生まれて初めてで、そんな先生が存在するという事自体が信じ難い事だった。
 
アメリカは個人主義で、我儘で勝手だという評判が一般的だけど、その裏返しは日本で認められ難い、才能が見出せられない人達にとっては認められるチャンスがあるという事だ。
 
「何者でも無い自分という存在」が、誰かに認められる事で、少しずつ自分という存在がはっきりと明らかになっていく。
 
「自分は何者で、何処から来て、何処へ行くのか?」
思えば僕は、ずっとその答えを知りたくて旅をしていた。
 
自分という存在がどうしても知りたくて、存在する理由を見つけたかったんだと思う。
 
その答えは未だ見つからないけど、それでも自分が見つけられなくても、これまで縁があって一緒にアメリカに行ってくれた子たちが
 
「自分は何者なのか?」という生きるうえでの永遠のテーマの答えを見つけようと初めの一歩を踏み出しているのを見ると、感無量になる。
 
僕が多くの人達から受け取った「優しさと暖かさ」は、自分自身を見出すきっかけとなって、「生きる方向性」を示唆してくれた。
 
そんな受け取ったものの幾ばかりは、きっと関わった子たちへと受け継がれて、きっとそれは川を流れる水のように、また誰かへと渡されていくのだろうと思う。