その頃観た「ミッドナイト・エクスプレス」という映画がとても印象に残っていて、今思えば

「あの時の自分の人生を変えるきっかけになった映画」だと思えています。

 

いつもはミッドナイト・エクスプレス(夜行快速列車)が止まらない小さな駅なのに、何かの拍子で止まる時がある。

そんなチャンスはそうそうあるもんじゃ無くて、人生の中で数える程しか無い。

 

真夜中に何の前触れも無く、何かの拍子で静かに止まるミッドナイトエクスプレス。しかし、その列車はすぐに出発してしまう。

その列車に乗るか、それとも目の前で出発するのを、ただ見るだけなのか?

 

それを決めるのは、自分だけなのです。

そんな人生を変えるような瞬間に立ち会う時というのは、身体中の5感という感性だけでなく、虫の知らせと言うような第6感をも敏感になっていきます。

 

自分の一生を決める。

そしてそういう理由だけで無く、その時の行動は「自分自身の存在する理由」をも決めていきます。

そしてそんな時に、真剣に自分の未来を思い浮かべると、何となく「未来の姿」や「生まれる前の姿」が浮かび上がってくるのです。

 

 

都内の古いマンションの4階ぐらいだったのか、

「此処ではマズイから」と言って、

「ちょっとタバコを吸いにいくわ」と奥さんに一言。

そして玄関前のテラスで話し始めた未来の自分。

 

「此処から見る夕陽は、ちょっとしたもんだろ。結構気に入ってんだ」

頭を掻きながら、タバコに火を点ける。

無精髭が夕陽の光にあたってキラキラしていた。

 

「本当に、あの時、アメリカに行っていたらと思う時があるんだ」

勇気が無くて前に進めなかった自分。寂しそうに言う言葉から、後悔してるのが解った。

 

思わず、涙が流れた。

誰も悪い訳じゃない。只々その時の心の弱さが悲しかった。

 

「楽しくて、楽しくて、しょうがないんだよ」

片や笑いながら、走りながらそう言っていた、アメリカ行きを決めた未来の自分。

自分の事はさて置き、皆んなの事を思って前に進んだ自分。

 

未来の自分と話をするなんて、何がなんだか良く解らないけど、きっと宇宙には幾層もの異なった層があって、

 

「あの時、こんな事が起きれば」

と思うような時に、分かれて同じ時間軸の中に幾層もの宇宙が存在していくのかもしれない。

 

自分の過去を変える事は出来ない。

それでも過去は変えれないかもしれないけど、これからの未来は自分次第で変わっていく。

そして、自分の思いがこの瞬間に変わる事で、過去に思った気持ちも変わって、起きた出来事の意味も変わる。

 

だからきっと、未来は変えれる。誰にでも世界を変える事は出来る。