いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの
ニコニコ動画 。
自分も大好きです。
でも、なにがココまで人々を夢中にさせたのか。
人によって意見が別れると思いますが、自分は、
雰囲気 だと思ってます。
ニコニコ動画の中に漂う、
面白くしてやろう 楽しくしてやろう
っていう、利用者(ユーザー)の雰囲気。
それが作り上げられていったからこそ、ニコニコ動画は爆発的な人気を得たのだと思います。
では、それらの雰囲気は、いかにして生まれたのか。
その謎は、ニコニコ動画が掲げる、
『ニコニコ宣言』 の中に隠されているのではないかと感じています。
ニコニコ宣言とは、
ニコニコ動画の本質について、議論した結果をまとめた、4章からなるニコニコ動画を構成する要素です。
一つ一つみていきましょう。
第一宣言 ニコニコは無機的な集合知ではなく人間のような感情を備えた集合知を目指します
web 2.0の本質は地球規模のwebを媒体とした集合知をつくりあげることであるといわれてますが、われわれはその集合知に人格や感情を備えさせることを目指したい と思います。いまのネットが目指している多くの集合知とは、個々の人間の労力や行動を部品として機械的に収集して構成されます。それはいわば現実世界の歴史における大運河やピラミッドのような仮想世界においての人間の叡智と労力がうんだ歴史的偉業にたとえられるかもしれません。ですが、現実世界に生きる人間と同じように、仮想世界に生きる人間も別に歴史的偉業をおこなうためだけに生きているわけではなく、ただ、楽しいことがあれば笑い、悲しいことがあれば泣くような日常を生きています。 われわれはそのような仮想社会に生きる等身大の人間そのものの姿を投影した集合知 をつくることを目標とします。感情と人格を持ち、そして生命そのもののように変化し、流れていき、寿命をまっとうし、また、新しいものが生まれる。そういった集合知 です。われわれの集合知は真実にむかって収束することを目指すものではなく、人間のパートナーとして共に苦しみや悩みも共有しつづけて永遠に完成することのない集合知 です。そんな人間的な暖かさをもつ集合知 が人間と共存するような未来のネット社会を目指します。
知識、情報を集めるのではなく、
といった、感情があつまったコンテンツを目指す、と解釈します。
人は、感情を刺激されることで、行動を起こします。(動機付け)
なので、この
感情を刺激するアプローチ、感情が集まったコンテンツ、というアプローチ は
的を得ているといえます。
第二宣言 ニコニコはすべてのものにコメントをつけられるサービスを目指します
われわれは人間から知識だけを分離して抽出、精製する集合知は目指しません。われわれが収集するのは知識ではなく人間の感情そのもの です。人間がなにかに対して思った感情を表現することは、人間が社会のなかで生きるという行為そのもの にほかなりません。われわれは人間の生きるという行為をネット上での新しいコミュニケーション手段を提供することで実現 します。それはライフログとしてデータをとることが目的では決してありません。人間の営みの記憶としてデータが生成されるだけなのです。データを保存するのは分析・集計するためではなく、フォトアルバムのように思い出を残すためでしょう。 上記を実現するために、まずネットで人間の感情を表現するもっとも基本的なコミュニケーション手段としては、なにかに対してコメントをつける という行為を選択しました。今後、人間の感情表現の手段という文脈から、コメントをつけるという概念はもっと多様化され拡張されるかもしれませんが、われわれが追求しつづけるものは人間の生きるという行為をネット上でいかに実現するか ということです。
ここで一番訴えているのは、
感情を表現することは、人間が生きる
という行為そのものであるということ。
そして、その人間の生きるという行為を、ネット上で行う手段を提供するということ。
そのための手段として、コメントを付ける、という事なのでしょう。
第三宣言 ニコニコはネット上に人間本位の仮想世界を構築することを目指します
ネットが最初に一般大衆のものとなったのはパソコン通信時代に遡るのでしょうか。そのとき、ネットは人間同士がつながる新しいコミュニケーションモデルを提示しました。人間が現実世界でなく仮想世界においても生きることができることが証明されたのです。やがてインターネットが普及しはじめ、ネットのもつ潜在的な可能性や価値が明らかになるつれ、ネットは人間のコミュニケーションの場というよりも、新しいビジネスモデルが提示される場所へ変わり、人々の感情のふれあいではなく、巨大なお金がとびかう世界になりました。それはネットという巨大な新世界の秩序が形成される過程では仕方がなかったことかもしれません。しかし、それも一段落し、Web 2.0時代の到来などと声高に叫ばれる今日、われわれはもういちどネットを人間同士のコミュニケーションの場として再構築する ことに挑戦します。われわれはWeb 2.0とは技術革新でも新しいビジネスチャンスでもなく、人間本位の仮想社会をとりもどす いわばwebルネサンスとでもいうべきものとして定義します。
『ネットの世界に人間本位の仮想社会をとりもどす』
という一説は、胸に
って来ました。
確かに、今のネット社会は、大手企業の
箱庭 になりつつあります。
・・・昔は違ってましたよね。
よくもわるくも、個人が普段主張し得ない表現を、
ネットという仮想社会の中で、表現していました。
それが、時代を得て、
今の日本のサブカルチャーに、大きな影響を与えているのだと思います。
本当に、良くも悪くもですが、その、居心地の良い仮想社会を
再構築する、という理念は、共感しますね
第四宣言 ニコニコはネットサービスをユーザと双方向につくりあげる作品として提供します
ニコニコが提供するネットサービスは人格と世界観をもちます。われわれが提供したいものは便利なインフラではありません。ユーザーと対等の立場で相互にコミュニケーションをすることにより完成されるひとつの作品です。われわれがつくりたいものは万人が受け入れるサービスではありません。われわれがつくるネットサービスは個性をもち、新しい価値観をユーザーになげかけます。人間の顔をした作品としてのネットサービスがわれわれが目指すものです。ネットという仮想世界において、すでに電気や上下水道や道路などのインフラは整いました。これからは仮想世界での文化であったりエンターテイメントが必要とされるのでしょう。ニコニコが提供したいのは人間が生存するためだけであれば、きっと必要のないものかもしれませんが、仮想世界においてユーザーが人間らしく生きるために大切にしたいと思うようなサービス です。
この章までのことをまとめると、
人間が、仮想社会の中で、人間として生きるために、
感情を表現するための手段を提供する、
そのためのサービスが、ニコニコ動画である。
という解釈になります。
ニコニコ動画と他のサービスの違い。
ニコニコ動画の雰囲気。
それは、
仮想社会で生きているかいないか、の違いがでている、という結論です。
しっかりしたコンセプトの元に作られているのですねー。