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繁浩太郎の自動車とクルマ社会ブログ

自動車とその社会にまつわる様々なコト。
ブランドコンサル業から見た様々なコト。
さらに身の回りの様々なコト。

先日、何かのニュース番組で、メルセデス・ベンツ日本の販売がすごく伸びていると言っているのを聞きました。
メルセデス・ベンツ日本自体は、高級車=価格が高い=限られた輸入車のお客さん・・・という図式だけでなく、もっと国産車に乗っているユーザーも取り込んでいく戦略で、カフェやブティックを併設した「メルセデスミー」を羽田空港に立ち上げたりして、「親しみのブランド」化を推進しているように思えます。
また、商品ラインナップを見ると、Aクラス、Bクラスという比較的価格の安い商品も取り揃えて、今ではAクラスは販売台数の3割強を占めるらしいです。

旧来のベンツにはない低価格領域の商品と親しみで、国産車ユーザーとの距離をぐっと縮めて、結果台数アップにつながっているように思います。

大昔のベンツは、ボディは大きく、価格も高く、ホントに限られたユーザーにしか関係がなかったと思います。
「いつかはクラウン」というこれも大昔のコピーがありましたが、同様に社会での成功者の証的な「いつかはベンツ」的なトコもあったのではないでしょうか?
また以前は、ベンツの比較的小さなCクラス(この前は190)でも、ベンツはベンツという考え方で、大きいSクラスのスタルイメージを持たせたりしながら、高級車感を漂わせていました。
勿論、価格もそれなりの価格でした。
つまり、メルセデス・ベンツは押しも押されもしない「高級車ブランド」を続けてきたのです。

メルセデス・ベンツは技術的にも生産的にも、小さいクルマを作りにくいと言う事が少しはあったかもしれませんが、それよりも「ベンツ=高級車」ブランドを守ってきたと言うか、そうしたいという意思があって、小さなクルマは作らなかったのだと思います。
そのスローガンも「Best or Nothing!」です。

その考えを変えざるを得なくなったのは、ヨーロッパCAFÉだと思います。(CAFE=企業燃費の規制)
カーメーカーとしては、大きくて価格の高い高級車は収益も大きく、これらの台数を上げて行きたいと思っても、規制がドンドン厳しくなって、大きいクルマは燃費が悪く、売る事が出来なくなってきたのです。
結果、小さいクルマを開発し販売しはじめるしか無かったのでしょう。

小さなクルマを数多く販売するという事は、収益を大きいクルマほど望めないでしょうから企業経営的には辛いと思いますが、さらに問題なのは「ブランド」です。
言いましたように、メルセデス・ベンツが長年つちかってきたのは、「世界の高級車ブランド」なのです。 

そこに、比較的価格の安い、小ぶりなクルマを販売しだすと言う事は、やはりこれは「高級車ブランド」と思ってもらえにくくなるわけです。それでも、当初は「あの高級車ブランドのベンツがこの価格で買えるの?」という事で、当然国産車から乗り換えるユーザーははいると思います。

しかし、これを長く続けていくと、そのうち「ベンツ=高級車ブランド」というユーザーの認識が、やはり変わっていくのではないでしょうか?
街で見るベンツが「なんだか小ぶりだな」と感じる様になり(今でも3割以上がAクラス)、「結構安いらしい」となると、その後は想像できますよね。
しかし、一方で「本来のベンツのユーザー」にとれば、商品もお店も立派で、一流ホテル並みの対応?もされて「私レベルしか出入りできない」的な、つまり商品やお店を通してブランドにプレミアム感を感じていたものが、なくなっていくことになります。

つまり、高級ブランドが比較的安い商品を出すと、当面は「あのブランドがこの価格で買える」「私でも買える」となり、ユーザー層は下に広がり、数は売れるようになりますが、この場合ブランドが一般化して本来の高級車ユーザーは逃げていくかもしれません。

しかし、高級ブランドだからとあぐらをかいて何もしないと、これはこれでブランドは陳腐化していくでしょうし、何かしらの施策をチャレンジし続けないとだめなのは言うまでもありません。
大切なのは、まず「ブランドをこうしたい」という経営の意志があって、それを柱にして「様々な施策」をうっていく事だと思います。

CAFÉのような外力で、経営の意思=ブランドを変えざるを得ない時もあるでしょうが、その時にさらにどういうブランドにしていくか?
あるいはブランドの柱は変えず外力に対する施策に知恵を絞っていくか?
ベンツが、今後どんな施策で乗り越えていくか見守って行きたいと思います。

私は、モータージャーナリストでありながら、「ブランド・コンサルタント」もやっていますので、「課題提起」だけでなく「施策提案」も出来ます。
「ブランド作り」のご用命をお待ちしております。(笑)