前回に引き続き、亡くなる前にしておきたいことについて その2です。

 

生前整理

 

断捨離という言葉が有名になってから、ずいぶん経ちます。

終活に限らず、身の回りを整理して、すっきり暮らしていらっしゃる方も多いことでしょう。

そのせいか、「捨てられなこと」に罪悪感を持つ風潮が増えているように思います。

 

もちろん、亡くなった後、遺品が少なければ、遺族は助かるでしょう。

でも、その目的のためだけに、自分の大切なものを無理に処分する必要はありません。

作家の五木寛之さんの本にもあります。(捨てない生き方)

「愛着ある「ガラクタ」は、人生の宝物である」

「「ガラクタ」は孤独な私たちの友であり、モノを依代(よりしろ)に回想を楽しむ、後半生は黄金の時代」

 

古い写真や服、小物、本 etc、人が見たらゴミのようなものでも、愛着と思い出のあるものなら、処分せずに身近に置いておきましょう。

歳をとると、最近のことよりも、昔のことの方がより鮮明に思い出すことができるようです。

思い出の品に囲まれて、老後を過ごすのも良いのではないでしょうか。

 

亡くなったら、遺族がそれらの殆どすべてを、ゴミとして処分してくれるでしょう。

故人が大切にしていたものも、使用していたものも、すべて、遺品業者がトラックにつめて運んで行ってくれます。

その時に、肝心なのは、遺族の思い切りです。

思い切りの良い遺族であれば(金銭的に価値のあるものは別として)、どんどん処分してくれるはずなので、死後のことは遺族にお任せしましょう。

そうでない場合は、少し配慮が必要かもしれませんが。

 

ただし、必要なことは、それらの品々を、きちんと整理しておくことです。

ゴミ屋敷状態では、遺族の負担が大き過ぎます。

遺品の処分がやりやすいように、どこに何があるか、誰でもわかるようにしておきましょう。

何でも溜め込んで、しまいっ放しで忘れているようモノは、やはり処分すべきです。

 

 

遺言書

 

遺言の書き方について、ネット等で調べると、必ず「自筆証書遺言」とか「公正証書遺言」、「家庭裁判所の検認」など、専門用語が出てきます。

何だか難しそうで、ちゃんと書くのは大変そう。

そんな風に思って、なかなか遺言を書けない方が多いのではないでしょうか。

 

たくさん財産があって、分割できない不動産などもあり、相続人も多く、争いになるのが目に見えている、とか、特定の人や団体に財産を渡したい、といったケースでは、きちんとした遺言を遺しておく必要もあるでしょう。

 

でも、故人の思いを伝えるだけなら、それほど堅苦しく考えなくても良いのではないかと、私は思います。

手書きでないから無効とか、訂正印がないから無効とか、そういう難しいルールにとらわれず、メモ書きでも、流行りのエンディングノートでも良いと思います。

何か思いがわかるものを伝えておくこと。それが大事です。

 

内容も、自分の財産を相続人にどう渡すか、細かく具体的に書かなくても、例えば、兄弟で均等に、あるいは仲良く話し合って分けて、とか、その程度でも構わないと思うのです。

たとえ書式が、遺言書として有効なものではなくても、故人が遺した言葉が、ちゃんと受け止められるかどうかが大切です。

書こうと思いながら書かずにいるより、形式にとらわれず、今すぐに書き始めてみましょう。

 

とはいえ、困った遺言があるのも事実です。

・遺族に無理難題を押し付ける

 前回お話したような、例えば、遺骨は海に撒いてくれとか、自分の理想だけを押し付けて、何の事前準備もしていない

 

・遺族の争いの元となるような内容

 例えば、特定の相続人だけに多額の財産を遺す、または、相続人にまったく財産を遺さない

こういった内容であれば、遺留分請求を申し立てたり、遺族間にわだかまりを生みます。

故人に対しても不信感が残ります。

 

・具体的過ぎて、実現不可能

 誰にいくらいくら、とか、具体的に指示してあるけれど、遺言書作成から時間が経っていて、すでにそんなに財産は無い。遺言書が現状にそぐわない。

そのようなことにならないためには、遺言はマメに書き直す必要があります。

 

まだまだ、長くなりそうなので、次回に続きます!!