社会保障や社会保険とは外れますが、不安の解消という意味で、書いてみたいと思います。
私事ですが、先日、近い身内を亡くしました。
亡くなった後の葬儀や色々な手続きのことは、ずっと漠然と不安に思っていたのですが、それが現実になりました。
身内は、かなり高齢でしたから、お付き合いも限られていたし、資産等も、ある程度把握できていたので、葬儀も相続も楽な方だったと思います。
それでも、亡くなったとたんに、決めなくてはならないこと、やらなくてはならないことが、山のように襲ってくる感じがして、人が一人、いなくなることの重さを実感しました。
自分が亡くなる、家族を亡くす。
あまり想像したくないことです。
具体的なことを考えるのが、何となく気が進みません。
縁起でもない、という思いもあります。
でも、誰でも、いつ何があるかわかりません。
死そのものに対する不安、さらに、もしも身近な人が亡くなったときは、何をすれば良いのかわからないという不安が、ごちゃごちゃになって、心に重くのしかかります。
そんな時は、終活を考えたり、相続の勉強をしてみましょう。
ここ最近、メディアでもたくさん紹介されていますね。
昔から何となく避けてきた死というものに向き合い、事前に準備をしておこう、という風潮が、当たり前になってきました。
死そのものに対する、大きな不安は拭えないかもしれない。
でもせめて、周辺の知識を身につけ、実務的な準備をしておければ、少しは不安も解消されるかもしれません。
まずは、自分がどうしたいのか、考えてみましょう。
そしてそれを、書き残しておきましょう。
さらに、それを見せながら、身近な人と話し合ってみると、自分の意思も伝わるし、相手の思いもわかるようになると思います。
亡くなる前の医療について
病気でも老衰の場合でも、症状が重くなった時、どう対処するか、家族は必ず聞かれます。
そんな時、予め本人の意志がわかっていると、家族は迷わずに済みます。
評論家の樋口恵子さんは、名刺の裏に「私、回復不能、意識不明の場合、苦痛除去以外の延命治療は辞退致します」と書き込んで、常に持ち歩いているそうです。
誰に知らせるか
亡くなったことを誰に知らせるか、葬儀にも来て欲しいのか、喪中ハガキの時期に知らせるのか、あるいは、関係が自然に消滅して良いのか。
などなど、亡くなった人の交遊関係は、本人にしかわかりません。
毎年年賀状を送る相手以外にも、LINEつながりの相手もいます。
遺族がお付き合いの程度を判断するのは、とても難しいものです。
親戚など、今後のお付き合いもある相手は、遺族が判断しても良いと思いますが、友人知人や仕事の関係者などは、知らせたい相手がはっきりしていると、遺族は助かるはずです。
葬儀社
亡くなったら、遺族は今後どうするか、すぐに決断を迫られます。
病院や施設に、いつまでも寝かせておくわけにはいきません。早急に葬儀社に連絡をし、遺体の搬送などを頼む必要がありますし、葬儀をどんな風に行うのか、細かな段取りも決めなくてはなりません。
悲しみの最中に、葬儀社を決めるところから始めるのは、遺族にとって、とても負担です。
事前相談に行けば、金額や葬儀の段取りもわかりますので、何か所か回ってみるのも良い手段です。
気に入った葬儀社があれば、互助会などに入っておくと、積み立てたお金を葬儀費用に回してもらえます。
葬儀の形
従来どおりのお通夜~告別式と進む一般葬以外に、一日葬や、火葬のみの直葬など、本当にバリエーションが豊富になりました。
家族葬という言葉もよく見かけます。
自分の葬儀をどういった形で行いたいか、知らせておきましょう。
簡素に行いたい、家族だけで見送って欲しい。
など、漠然とした希望だけでも良いのです。
遺族が葬儀社と段取りを決める時に、故人の意思がわかっていると、方向性を決めやすいのです。
遺影
遺族が、たくさんの写真の中から、条件に合った写真を見つけ出すのは、予想外に手間がかかるものです。
集合写真の中の一人では小さすぎたり、旅行の写真では、背景ばかり大きかったり。
デジタルになってからは、写真の数も膨大なので、元気なうちに写真の整理も兼ねて、お気に入りの遺影を決めておきましょう。
戒名・仏壇・お墓
仏式で葬儀を行う場合、避けて通れないのが、まず戒名です。
戒名とは?
「仏弟子になった証として与えられる名前のことです。戒名を授かることで、迷うことなく極楽浄土に導かれると考えられています」
戒名にはランクがあって、上は100万円近く、下は10万円程度、お布施がかかります。
個人個人の、死後の世界観に直結することなので、どの程度戒名に重きを置くのかは、人それぞれです。
仏壇やお墓についても、それは同様で、先祖代々の仏壇やお墓を引き継いで欲しい、または引き継ぎたい人もいれば、仏壇もお墓も不用という人もいます。
それは、故人と遺族の宗教観によって様々な形があって良いものです。
だからこそ、前もって、自分の宗教観や、戒名やお墓に対する考え方について、伝えておきましょう。
もし戒名も仏壇もお墓も要らない、という強い意志があるのであれば、遺族が今後困らないために、事前に準備が必要です。
現在は仏式の葬儀が一般的なので、戒名不用の無宗教葬をするとか、葬儀をしない、となると、独自に段取りを考えなくてはなりません。
普通の形式で、葬儀社やお寺にお任せするより、かえって大変です。
亡くなった後の段取りを、できるだけ具体的に、自分で決めておきましょう。
また仏壇不用であれば、今ある仏壇は、自分で処分すべきです。
子孫に墓守をさせたくないし、お墓はいらないと考えているなら、永代供養や海洋散骨等をしてもらえるように、予め手続きを踏んでおきたいものです。
先祖のお墓は、自分の代で墓じまいをしておきましょう。
でも何より、遺される人と、その旨を話し合い、納得してもらう必要があります。
葬儀や法要は、故人のためのものという以上に、遺された方々が、これから生きていくために行うものだと思います。
自分の考えを、押し付けて良いものではありません。
戒名は簡単なもの、葬儀も少人数で簡素にして欲しい、という程度の希望を伝えておき、後は遺族に任せるということでも充分だ、と思います。
遺族は、それを参考に、進めることができるでしょう。
一番困るのは、ただ単に、戒名無用・お墓も不用、葬式もしなくて良いなどと、遺言に書いたり、言ったりしておきながら、生前に何の準備もしていないケースです。
本人としては、遺族の負担にならないように、という思いがあったのかもしれません。
でもこれでは、何をどう進めて良いのか、逆に遺族は困ってしまいます。
現実問題として、そういう遺志を実現するには、遺族の負担はかなり大きいです。
親族の手前や、遺族の今後のお付き合いの関係で、普通にお葬式を済ませ、お墓に納骨するしかない場合もあります。
遺族のためを思って書いたのに、結果的に無理難題な遺言になってしまった。
そんなことにならないように、心がけておきたいものです。
長くなりそうなので、
・遺品の処分
・役所の手続き
・保険、金融機関の手続き 相続
などについては、次回に書きたいと思います。