値上げのニュースが続く中、年金額引き下げが発表された

 

電気料金、ガス料金、パスタに食用油、冷凍食品 etc.etc。

値上げラッシュが続いています。

お給料は上がらないのに、値上げのニュースが続いて、ただでさえ気が重いところ、追い打ちをかけるように、先月、厚生労働省から年金額引き下げが発表されました。

 

引き下げ率は-0.4%

令和4年度から、つまり4月からの年金が引き下げられます。

年金は2ヵ月分の後払いなので、実際に口座に振り込まれるのは6月からです。

 

令和3年度は-0.1%の引き下げでしたが、次年度は、さらに年金額が減ることになりました。

たとえば、老齢基礎年金の満額を受け取っている人は、

月額65,075円 → 月額64,816円

となって、月に259円の減額です。

 

老齢厚生年金の金額は、報酬額やお勤めの期間によって人さまざまなので、一概には言えませんが、厚生労働省がモデル世帯の給付水準を発表しています。

それによると、

月額220,496円 → 月額219,593円

と、月々903円の減額となります。

 

このモデル世帯というのは、サラリーマンと専業主婦という世帯を想定しています。

賞与を含めた給与報酬の平均額が43.9万円で、40年間お勤めをしたと仮定した場合に受け取る老齢厚生年金額と、夫婦2人分の満額の老齢基礎年金を足したものが、モデル世帯の年金額です。

 

年金額改定のルール

下の図を見てください。

 

 

年金額は、物価と賃金の変動によって改定されます

改定には6つのパターンがあり、①~⑥でそれが示されています。

今回の改定は、④のパターンです

グレーの太い矢印分まで、下がるイメージです。

 

内容を確認しましょう。

改定の指標となる数値は次の通りです。

・物価 → 物価変動率 : -0.2%

・賃金 → 名目手取り賃金変動率 : -0.4%

 

物価変動率 = 全国消費者物価指数が、前年と比べてどの程度変化したか

名目手取り賃金変動率

=前年の消費者物価指数の変動率

 ×2~4年度前(3年度平均)の実質賃金変動率

 ×可処分所得割合変化率

で計算します。

 

近頃の物価は、どんどん上がっているような気がしますが、2021年(令和3年)の消費者物価指数の年平均は、前年比で-0.2%でした

また、名目手取り賃金変動率の計算式は以下の通りです。

令和3年の物価変動率(-0.2%)

 ×実質賃金変動率(平成30~令和2年度の平均)(-0.2%)

 ×可処分所得変化率(0.0%)

 =名目手取り賃金変動率 -0.4%

 

パターン④は、物価・賃金ともに下がって、賃金の減り具合(-0.4%)が物価の下がり具合(-0.2%)より大きいケースです。

 

図のコメントにあるように、従来、このようなケースでは、物価に合わせて年金額が改定されていました。

つまり、今回のケースなら-0.2%の減額のはずでした。

その後、年金法が改正され、令和3年度からは、賃金が下がったのであれば、それに合わせて年金額も下げることになったのです。

 

年金財政は、現役世代が負担する保険料で賄われています。

賃金が下がれば、年金財政も悪化しますから、将来に向けて、持続可能な年金制度を維持するために、年金受給世代に負担を求めるといのが、改正の主旨でした。

 

これからの物価高が目に見えている年金受給世代にとっては、毎年度の減額は、この先どうなるか、不安な数字だと思います。

賃金が上がらなければ、年金額が増えることはありません。

諸外国と比べても、日本の賃金はこの20年、ちっとも上がっていないと言われています。

モノの値段が上がれば、当然、賃金も年金も上がる。

早くそういう時代になって欲しいものです。

 

年金額の改定については、昨年の6月にもアップしています。

参考にしてください。