9月下旬、日本年金機構から、年金を受けている方に対して、「扶養親族等申告書」が送られています。
これは、扶養している配偶者や扶養親族がいるかどうか、または、ご自分が障害者や寡婦に当たるかどうか、申告するものです。
これによって、年金にかかる税額が変わってきます。
ですが、年金を受けていても、送られていない方もいます。
その違いは何でしょう。
年金には所得税がかかります。
年金は「雑所得」にあたり、年金収入から各種控除を除いた所得に対して、
5.105%を掛けた額が、年金から天引きされます。
これを源泉徴収と言います。
ただし、遺族年金と障害年金は非課税所得なので、税金がかかりません。
税金がかかるのは、老齢年金です。
税額を計算するにあたっては、様々な控除があります。
まず「公的年金等控除」。
年金収入から「公的年金等控除」を引いたものが「所得」になります。
「年金収入」-「公的年金等控除」=「公的年金等にかかる雑所得の金額」
公的年金等控除は、年金以外の収入や年齢、受け取る年金額によって異なります。
所得が年金のみ、または年金以外の所得が年間1,000万円以下の場合は次の通りです。
次に「基礎控除」
「基礎控除」は、合計所得金額が2,400万円以下の方は「48万円」です。
殆どの方がこれに該当するでしょう。
たとえば、65歳未満の方で、年金収入が108万円の方は、
108万円-公的年金控除60万円-基礎控除48万円=0円
65歳以上の方で、年金収入が158万円の方は、
158万円-公的年金控除110万円-基礎控除48万円=0円
となります。
年金収入が、上記以下の場合、年金に所得税がかからないことになります。
今回、扶養親族等申告書が送られているのは、老齢年金の金額が
65歳未満の場合は108万円以上
65歳以上の場合は158万円以上
の方です。
それ未満の年金額の方は、公的年金控除と基礎控除だけで、源泉徴収の対象から外れるので、扶養親族の申し出も不要だからです。
扶養親族等申告書が送られた方の源泉徴収税額は、次のように計算されます。
源泉徴収税額=(年金支給額-社会保険料-各種控除額)×税率(5.105.%)
この中の「各種控除額」は、公的年金控除と基礎控除以外に
「配偶者控除」「扶養控除」「障害者控除」「寡婦控除・ひとり親控除」があり、これらに当てはまる場合は、申告することで、各種控除額が年金額から減額されて、税金が安くなる、というわけです。
扶養対象である配偶者も親族もいない、ご本人も障碍者や寡婦・ひとり親ではない場合は、申告書を提出する必要はありません。
提出しなくても、公的年金控除と基礎控除で、税額が計算され、税率も変わらないからです。
該当する控除が受けられる場合は、必ず扶養親族等申告書を提出しましょう。
継続の場合は、前年の内容が印字されているので、変更が無ければ、変更なしに〇をつけるだけで済み、簡単に申告できるようになっています。
今回提出する申告書は、令和4年2月以降の年金から源泉徴収される所得税の計算に使用されます。
提出期限が過ぎてしまっても、なるべく早く提出しましょう。
万一、来年2月の計算に間に合わず、余分に税金が引かれた場合でも、後から税金が戻ってきます。