会社の健康保険に入っていると、病気やケガで働けない時にお金が支給される、心強い制度があります。

それが、傷病手当金です。

 

病気やケガで会社を休み、続けて3日、会社を休んでしまった。

まだまだ仕事ができそうもなく、しかも、お給料も貰えない。

そんな時には、傷病手当金を申請しましょう。

傷病手当金は、療養中で働けない間の収入を保障してくれる制度です。

金額は、それまでの報酬の2/3、受け取れる期間は1年6ヵ月です。

 

●支給される条件

傷病手当金は、次の条件をすべて満たしたときに支給されます。

 

・業務外の理由による病気やケガの療養中である

  入院中はもちろん、通院や投薬をしながら自宅療養していても対象となります。

  保険診療だけではなく、自費診療も対象です。

  業務上や通勤途中の病気やケガは、労災保険の対象であるため、対象外です

  また、美容整形など、病気とみなされないものも対象外です。

 

・仕事に就くことができない

  仕事に就けないかどうかは、

   仕事の内容や病気やケガの程度、医師の意見等をもとに 総合的に判断されます。

 

・連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んだ

   連続して3日間仕事を休んだ後、4日目以降の休んだ日に対して支給されます。

   この3日間を「待機期間」と言います。

   3日間は、連続している必要があります。

   たとえば、2日休み、1日出勤といった状態では、支給が開始されません。

   待機期間には、有給休暇や土日・祝日も含まれ、給与支払いの有無は問われません。

   待機期間は、最初の1回だけです。

   仕事に復帰して、再度休職する場合は、待機は必要ありません。

 

・給与の支払いがない

   給与が支払われていると、傷病手当金は支給されません。

   ただし、給与が傷病手当金より少ない時は、差額が支給されます。

   休業中の生活保障を行う制度なので、過剰な保障を避ける意味があります。

   休業中の給与の扱いは、会社によって異なります。

   差額が支給される程度の給与であれば、ご本人が受け取る総額は変わりません。

 

支給される期間

 

★令和4年(2022年)4月1日から、制度改正によって、傷病手当金の支給期間の通算化が施行されました!

 同一の傷病に関する傷病手当金の支給期間について、「支給開始日から起算して1年6ヵ月」から「支給開始日から通算して1年6ヵ月」に改正。支給期間の途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合に、支給開始日から起算して1年6ヵ月を超えても繰り越して受給できるようになりました。

 

傷病手当金の支給が開始された日から、暦日で最長1年6ヵ月後までです。

注意したいのは、「1年6ヵ月分が支給されるのではない」ということです。

途中に出勤等で、支給対象外の期間があっても、その期間は1年6ヵ月にカウントされます。

1年6ヵ月経過後は、同一傷病で会社を休んだとしても、傷病手当金は支給されません。

 ※2022/4/1からの制度改正で、1年6ヵ月分が支給されるようになりました

 

 

  これが、次のように改正されました   

 

傷病手当金の額

金額計算のもとになるのは、「標準報酬月額」です。

  報酬を、等級づけしたものですね。

  社会保険料や年金計算の基になる金額です。

一番最初に支給が開始された日以前の、継続した12ヵ月分の平均額を求めます。

それを、30日で割って1日当たりに換算した額の2/3が、1日あたりの傷病手当金です。

 

「支給開始日以前継続した12ヵ月間の標準報酬月額の平均」

……A

1日当たりの傷病手当金=A÷30日×2/3

 

たとえば、傷病手当金を受ける前の、直近1年間の標準報酬月額が33万円の場合

33万円×12ヵ月÷12ヵ月÷30日×2/3=7,333円(小数点以下四捨五入)

1ヵ月22万円ぐらいです。

 

標準報酬月額は、実際に受け取っているお給料とは金額が異なります。

休職前に確認しておく方が良いでしょう。

また、報酬が無くても、在職中である以上は、厚生年金保険料や健康保険料は、従来通り納める必要があるので、注意が必要です

 

退職しても、継続して受けられる場合があります

・退職日まで被保険者期間が継続して1年以上ある

・退職日に傷病手当金を受けている。または受けられる状態にある。

  3日待期期間を満たさないうちに退職しないように、注意しましょう。

  この場合は、傷病手当金を受けられる条件を満たしていないため、支給されません。

 

 

ただし、途中で仕事に就ける状態になると、その後は再度休職しても、継続給付は受けられません。

他の給付との調整

退職して、傷病手当金を受けている人が、老齢年金を受けることができるとき

傷病手当金は支給されません。

1日当たりの老齢年金が、傷病手当金より少なければ、差額が支給されます。

 

傷病手当金を受給中に、障害年金を受けられるようになったとき

同じ傷病で障害厚生年金を受けられるときは、傷病手当金は支給されません。

障害年金の額が、傷病手当金より少なければ、差額が支給されます。

 

労災保険から休業補償給付を受けているとき

別の傷病で労災保険から給付を受けていても、傷病手当金は支給されません。

休業補償給付が、傷病手当金より少なければ、差額が支給されます。