住民税決定通知書(納税通知書)

 

お勤めの方は、毎年6月ごろに、勤務先から「給与所得等に係る住民税特別徴収税額決定通知書」を受け取ります。

(名称は、居住地によって、「市民税・県民税…」とか「特別区民税・都民税」に変わります。)

ここには、6月~翌年5月の給与から、毎月天引きされる住民税額が記載されています。

 

 

また、自営業等の方で、ご自身で住民税を納税される方には、やはり6月ごろ、お住まいの自治体から「住民税(普通徴収分)納税通知書」が送られてきます。

ここに住民税の金額や納期が記載されています。

様式は、自治体によってそれぞれ異なりますが、記載内容は同じです。

 

 

ここに記載されているのは、昨年の所得です。

ご存知の方も多いと思いますが、住民税は、所得税と異なり、前年の所得に基づいて課税されるのです。

これが決まるまでには、ちょっと時間がかかります。

お勤めの方の年末調整や、年明け3月中旬までに行われる確定申告を経て、その情報が自治体に送られた後、6月ごろに、ようやく正式に昨年の所得が決定されます。

なので、住民税決定通知書は、ご自分の所得を把握するために、とても大事な通知です

なぜなら、この書類に記載されている所得によって、様々な行政サービスを受けられたり、保険料が決定されるからです。
 

所得審査の基準は前年の所得

 

健康保険や介護保険の保険料や保険の自己負担割合の話題になると、「住民税非課税世帯」や「現役並み所得者」という言葉が登場します。

保険料や自己負担割合は、所得によって審査されるのです。

そして、その所得は、前年の所得です。

 

ここでちょっと、所得と保険料等の関係をまとめておきましょう。

このブログで数回に渡って説明してきた内容を、振り返ります。

詳しくは、各回の説明を参照してください。

 

医療保険・介護保険

 保険料の算定方法

 

  ア.国民健康保険加入者の保険料→ 国民健康保険料として一括で徴収

     (医療保険は75歳未満、介護保険は40~64歳)

    均等割額+所得割額=保険料額

    所得割額=算定基礎額×所得割率(だいたい11~12%)

    所得割額の計算の基準となるのは算定基礎額

     算定基礎額=前年の総所得-住民税の基礎控除(43万円)

   基礎控除額は、所得税の基礎控除48万円ではなく、住民税の基礎控除43万円です。

    

  イ.健康保険加入者(社会保険加入者) (お勤めの方)の保険料

     (医療保険は75歳未満、介護保険は40~64歳))

    保険料計算のもとになるのは、標準報酬月額と標準賞与額

 

  ウ.後期高齢者(75歳以上)の医療保険料

    均等割額+所得割額=保険料額

    所得割額=賦課のもととなる金額×所得割率(東京都は8.72%)

    所得割額の計算の基準となるのは賦課のもととなる金額

     賦課のもととなる金額=前年の総所得-住民税の基礎控除(43万円)

 

  エ.65歳以上の人の介護保険料

    各自治体の基準額×所得段階による倍率

     所得段階の決め方→ 住民税非課税の人は合計所得+課税年金収入

                    住民税課税の人は前年の所得金額

 

正式に決定された昨年の所得に基づいて、国民健康保険料や、介護保険料、後期高齢者医療保険料の決定通知書が、6月~7月に送られてきます。

これらの保険料のサイクルは4月~翌年3月です。

国民健康保険料など、ご自分で納付する場合は、12か月分の保険料を6月~翌年3月までに払います。

年金から天引きされる保険料(特別徴収)は、4月~8月は前の保険老と同じ額が仮徴収されていましたが、正しい保険料に基づいて調整され、10月から本徴収されます。

 

 

自己負担割合の算定方法

 医療保険の自己負担割合

  ア.6歳~70歳未満

    一律3割負担

 

  イ.70歳~75歳未満

    2割負担(現役並み所得者は3割)

 

  ウ.75歳以上

    1割負担(現役並み所得者は3割)

    (2022年度後半から 単身世帯200万円以上、夫婦世帯320万円以上は2割に)

 

  エ.70歳以上の現役並み所得者

    3割負担

    住民税の課税所得が145万円以上

      課税所得 = 所得-各種控除額

       課税所得は、住民税決定通知書の「課税標準」を見るとわかります。

  

  介護保険の自己負担割合

  所得によって3割~1割

  ア.3割負担になる人

    本人の合計所得 220万円以上

    かつ、年金収入+その他の合計所得340万円以上(複数世帯463万円)

 

  イ.2割負担になる人

    本人の合計所得220万円以上

    かつ、年金収入+その他の合計所得240万~340万円(複数世帯346万~463万円)

    または

    本人の合計所得160万~220万円

    かつ、年金収入+その他の合計所得280万円以上(複数世帯346万円)

 

  ウ.1割負担になる人

    本人の合計所得160万~220万円

    かつ、年金収入+その他の合計所得金額280万円未満(複数世帯346万円)

    または、本人の合計所得160万円未満

    または、64歳以下

  

 

 医療保険

  高額療養費制度の自己負担限度額

 

  ア.70歳未満

   健康保険加入者は、標準報酬月額で段階分け

   国民健康保険加入者は、「所得-基礎控除(43万円)」で段階分け

   基礎控除額は、所得税の基礎控除48万円ではなく、住民税の基礎控除43万円です。

 

     

 

  イ.70歳以上

   健康保険加入者は、標準報酬月額で段階分け

   それ以外は、住民税の課税所得で段階分け

    課税所得 = 所得-各種控除額

       課税所得は、住民税決定通知書の「課税標準」を見るとわかります。

 

     

 介護保険

  高額介護サービス費制度の自己負担限度額

   住民税の課税所得で段階分け 

 

   

   

 

医療保険+介護保険

  高額医療・高額介護合算制度

 医療保険と介護保険の両方を利用する人のために、所得区分によって、自己負担額の年額が決まっています。

この所得の段階分けは、高額介護サービス費の所得区分と同じです。

 

自己負担割合のサイクルは、8月1日~翌年の7月31日まで。

6月に、前年の所得が確定してから、自己負担割合が再評価されるということです。

 

世の中には、さまざまな行政サービスがあります。

医療保険サービスや介護保険サービスだけではなく、たとえば都営住宅の申請や児童手当の申請など、前年の所得を確認されるケースが多いです。

自治体が発行する所得証明書も、6月以降に初めて前年分の証明書が手に入ります。

色々な場面で、審査の対象となる所得水準。

住民税決定通知書は、あなたの最新の所得水準を示す、とても大事な数字が書かれている書類です。

ぜひ、一度、じっくり確認して、自己負担限度額などを割り出してみましょう。

 

今回のまとめ

●6月に送られた住民税の決定通知書(納税通知書)で、昨年の所得が正式決定されました。

 

●ご自分の所得水準は、ここに書かれた数字でわかります。

 

●医療保険と介護保険の、保険料算定方法や自己負担割合について振り返ってみました。