介護保険の自己負担割合

 

日本は、世界に例を見ないほどの速さで高齢化が進行しています。

その中で、介護の長期化・重度化が進み、その一方で、核家族化や高齢者のみの世帯が増加するなど、家族形態も大きく変化しています。

このような状況の中で、「介護」の問題を社会全体で支えていくために、2000年(平成12年)から始まったのが「介護保険制度」です。

 

この制度は、一定の年齢(40歳)に達した後に保険料を納め、介護が必要になった時に、一部負担金のみで介護サービスが受けられる制度です。

制度開始以来、多くの高齢者に利用され、今や、なくてはならない制度となりました。

それとともに、財源の確保が大きな課題となっています。

このまま高齢化が進めば、2000年には3.2兆円だった介護にかかる費用が、2040年には25兆円を超えると見込まれています。

介護保険制度が今後も持続可能な制度であるために、「負担能力のある人に費用を負担してもらう」という費用負担の見直しが、どんどん進められています。

 

全員1割負担から、

一定以上の所得者は2割・3割負担の時代に

 

一般的に、介護保険のサービスを利用した時は、利用料の1割を負担するのが基本です。

しばらくは全員1割負担でしたが、一定以上の所得がある人には、2割の負担をしてもらうように、2015年(平成27年)に改正されました。

さらに、2018年(平成30年)からは、現役並み所得者は3割負担とされました。

 

負担割合の決まり方は複雑です。

65歳以上の方は、前年の所得に応じて、さらには、世帯員の所得に応じて、1割~3割負担に区分されます。

 

※合計所得金額

 収入金額から必要経費に相当する金額や控除額を控除した金額のこと。

 扶養控除や医療費控除などの所得控除をする前の金額。

※年金収入

 年金収入には、非課税年金(障害年金・遺族年金)は含まれません。

※その他の合計所得金額

 合計所得金額から、年金の雑所得を引いた金額です。

 

 

・3割負担になる人

 本人の合計所得金額が220万円以上で、「年金収入とその他の合計所得金額」が340万円以上ある単身者は、介護保険の自己負担額が3割になります。

 2人以上の世帯では、本人の合計所得金額が220万円以上で、本人を含めた同一世帯の65歳以上の方の「年金収入+その他の合計金額」が463万円以上になると3割になります

 

・2割負担になる人

 本人の合計所得金額が220万円以上で、「年金収入とその他の合計所得金額」が280万円以上340万円未満単身者は、自己負担額が2割になります。

 同様に2人以上の世帯では、本人の合計所得金額が220万円以上で、本人を含めた同一世帯の65歳以上の方の「年金収入とその他の所得金額」が346万円以上463万円未満では2割の負担が必要です。

 また、本人の合計所得が160万円以上220万円未満単身者の場合は、「年金収入とその他の合計所得金額」が280万円以上の場合に2割負担となります。
 さらに2人以上の世帯では、「年金収入とその他の合計所得金額」が346万円以上で2割負担となります。

 

・1割負担になる人

 本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満で、単身者の場合は「年金収入とその他の合計所得金額」が280万円未満であれば、1割負担となります。
 2人以上の世帯では、本人の合計所得金額160万円以上220万円未満で、「年金収入とその他の合計所得金額」が346万円未満の場合が1割負担です。

 また、本人の合計所得金額が160万円未満の場合や、64歳以下の利用者の場合も、1割負担になります。

 


世帯の人数や所得に応じて自己負担割合が変動するため、自分がどの負担割合になるのか、少しわかりにくいですね。

フローチャートでまとめてみましょう。

 

世帯に65歳以上の人が1人の場合(単身者含む)

    介護保険自己負担単身者

 

 

世帯に65歳以上の人が2人以上の場合

 

介護保険負担割合世帯

 

※第2号被保険者(40歳以上65歳未満の方)、市区町村民税非課税の方、生活保護受給者は1割負担です。

 

介護保険負担割合証

 

 

要支援・要介護の認定を受けていると、毎年7月に「介護保険負担割合証」が送られてきます。これは、利用者負担の割合を証明する書類で、介護サービスを利用する時は、必ず提示することになっています。

有効期間は1年間(8月1日~翌年の7月31日)です。

7月までには、前年の所得が確定するため、このようなサイクルになっています。

 

今回のまとめ

●介護保険サービスを利用する時の自己負担割合は、基本的には1割ですが、

 65歳以上の方は、前年の所得と世帯員の所得によって、2割から3割の負担割合になる場合があります。

 

●ご自分の負担割合を知るには、フローチャートが便利です。

 

●介護保険負担割合証に、8月~翌年7月までの負担割合が記載されています。