保険の自己負担割合とは?
医療保険制度や介護保険制度に入っていると、一部の負担金を払うだけで、制度を利用できます。
いざという時の出費が少なくて済むわけです。
ケガや病気で医療サービスを受けたり、身体が弱って介護サービスを利用した場合、自己負担割合は、総費用のうち、1割~3割です。
とは言うものの、3割負担と1割負担では、3倍もの開きがあります。
なぜ、そのような差が生まれたのでしょうか。
医療保険制度と介護保険制度、それぞれを見てみましょう。
今回からは、まず、医療保険制度について。
医療保険制度の自己負担割合
最初に、医者や薬局の窓口で支払う自己負担割合について、確認しておきましょう。
負担割合は、年齢によって異なります。
さらに70歳以上は、所得によって異なります。
(下図参照 厚生労働省HPより抜粋)
✳️6歳までは2割負担となっていますが、子どもの医療費は乳幼児医療費助成制度などで、助成が受けられます。
対象年齢や負担金などは、自治体によって開きがあります。
東京都は、助成が多く、中学卒業までほぼ無料、高校卒業まで無料の区もあります。
追記:
※2022年10月に、一部の75歳以上の窓口負担が、1割から2割に引き上げられました。
70歳までは、所得に関係なく、一律3割負担
70歳までは、一律3割負担です。
ですが、これは、ずっと一律だったわけではありません。
保険制度ができてから、これまで負担割合も、引き上げられたり、家族の負担が引き下げられたり、紆余曲折がありました。加入する保険制度によって、負担割合も違いました。
かつては、自営業が3割で、会社員本人だけ1割だったり、その家族の負担割合が異なっていたり、複雑だったことを覚えていらっしゃる方も多いと思います。
一律3割に統一されたのは、2003年(平成15年)からです。
高齢者の医療は1割に
ただし、70歳~74歳は2割に引き上げ
高齢者の医療費については、医療費が無料、もしくは低額の負担のみだった時代もありましたが、2001年(平成13年)からは1割に定められました。
その後、70歳~74歳の自己負担割合は、2006年(平成18年)の法改正により、平成20年4月から2割に引き上げられることになりました。
ただ、しばらくは特例措置により、1割に据え置かれていました。
2014年(平成26)年4月に、この負担割合が見直され、平成26年4月以降に70歳の誕生日を迎える人(誕生日が昭和19年4月2日以降)から、74歳までの負担額が2割に引き上げられました。
それまで1割負担だった人は据え置かれ、2割負担となる対象者が、段階的に増える仕組みです。
現在では、すべての70歳~74歳までの人は2割負担となっています
(現役並み所得者を除く)。
現役並み所得者が狙い撃ち。負担割合は上昇して3割へ
繰り返しになりますが、70歳以上の負担割合は2001年(平成13年)から1割になりました。
そして、そのうち74歳までの人は、徐々に2割に上がっていきました。
一方、一定以上の所得がある人については、早くから、より多くの負担が求められてきました。
一定以上の所得がある人は、「現役並み所得者」と呼ばれています。
その負担割合は、2002年(平成14年)10月から2割に、さらに2006年(平成18年)10月からは3割に、引き上げられました。
つまり、現役並み所得者は、69歳までと同様に、70歳になっても、75歳になっても、3割負担ということになっています。
現役並み所得者とは
世帯内に、住民税の課税所得が145万円以上の被保険者がいる世帯の被保険者
ただし、世帯内の被保険者全員の収入の合計額が520万円未満(単身383万円未満)の場合は、申請により、3割負担ではなくなります。
※課税所得とは、収入から必要経費や各種控除を除いた所得
2022年度後半から、75歳以上の人も、一部2割負担に
政府は、2022年(令和4年)以降を目標に、75歳以上の後期高齢者の窓口負担について、現在の1割から2割に引き上げるよう、検討を重ねてきました。
2021年2月、医療制度改革関連法案が閣議決定され、単身世帯で年収200万円以上、夫婦ともに75歳以上の世帯では年収320万円以上の人を対象に、2割に引き上げることが決定しました。
2022年度後半に実施されることで、合意しています。
引き上げの対象者は、約370万人です。
2022年には、団塊の世代が75歳になり始め、2025年には国民の4人に1人が75歳以上になると予想されています。
医療費がますます増大に向かう中、残念ながら、低所得者を除いた高齢者の負担は、ますます増えていくと思った方が、良いのかもしれません。
今回のまとめ
●保険医療費の負担割合は、年齢によって異なり、
70歳未満は3割。70~74歳は2割。75歳以上は1割。
●現役並み所得の世帯員は3割負担。収入によって、申請すれば負担が軽減される。
●70~74歳は、1割→2割に引き上げられた。
●75歳以上も、一部の人は2割になることが決定している。