介護保険の財源と介護保険料

 

公的な介護サービスを受ける時に、欠かせないのが介護保険です。

介護保険を利用すると、1~3割の自己負担でサービスを受けることができるため、自己負担額を抑えることができます。

介護保険に加入するのは、40歳以上の方。

介護保険を利用してもしなくても、40歳以上であれば、基本的に誰もが保険料を払っています。

 

介護保険の財源は、次の3つです

1.公費(50%)

2.第1号被保険者からの保険料(23%)

3.第2号被保険者からの保険料(27%)

 

介護保険料は、年齢と所得に応じて変わります。

・65歳以上(第1号被保険者)

 → 居住地と所得によって保険料が決まる

・40~64歳(第2号被保険者、会社員)

 → 加入する健康保険と賃金によって保険料が決まる

・40~64歳(第2号被保険者、国民健康保険)

 → 居住地と所得、世帯の人数によって保険料が決まる

 

65歳以上の介護保険料の決まりかた

 

65歳以上の保険料は、国が示した基準を参考に、

市区町村が決めています。

 

市区町村は、3年ごとに介護保険事業計画を見直します。

今年度の2024年度は、改定年に当たりますので、昨年度までと比べて、保険料が変わります。

 

一人一人の保険料は、次の計算式で求められます。

 

介護保険料

=基準額×所得段階に応じて決まった値(保険料率)

※所得段階に応じて決まった値=保険料率

 

介護保険は市区町村が運営し、計算式にある基準額も、保険料率も、地域によって異なります。

 

地域により異なる基準額

 

保険料の計算の基となる「基準額」は、地域ごとに定められます。

 

各市区町村の基準額

=市区町村で必要な介護サービスの総費用

 ×65歳以上の負担分(23%)

 ÷各地域にすむ65歳以上の人数

※23%=介護保険の財源のうち、65歳以上が負担する割合

全国の年齢人口比率によって決められる。

2024年度からも引き続き23%

 

必要な介護サービスの総費用は、それぞれの地区で異なります。

つまり、介護サービスを利用する人や、介護度の高い人が多い地域ほど、費用の総額が増え、保険料も高いということになりますね。

 

2024年度は、3年に1度の改定の年ですが、49%の市区町村が、この基準額を引き上げたという調査結果が出ています。

4/28の日経新聞によると、

基準額が最も高いのは、大阪市で月額9,249円(14%増)

上昇率が最も高いのは、兵庫県伊丹市の月額7,200円(38%増)

東京23区では9割に当たる20区が、基準額を引き上げているとのことです。

また、高齢者数が増える大都市の方が、上昇率が高く、東京23区と政令市では、86%が引き上げています。

 

保険料の上がり過ぎを嫌って、基準額を下げた地域も、中にはありますが、全国的に介護保険料の値上げは今後も続くと見込まれています。

5/15日には、65歳以上の方の介護保険料が、全国平均で6,225円と、過去最高になったことが報じられました。

値上げの原因は、介護サービスの利用の増加及び、介護職員の処遇改善が行われたことです。

 

4段階追加された国の所得段階

 

保険料は、

基準額×保険料率

で計算されます。

 

この所得段階も地域によって異なるのですが、最低でも、国が設けている所得段階以上にするように決められています。

 

国の所得段階は

昨年度までは、9段階に分けられていました。

この段階別年間所得は、

最も低い80万円以下

~最も高い320万円以上

でした。

 

この9段階が2024年度から、

➡️ 13段階

に増えました。

 

これまで最も高い年間所得の段階は、

320万円 でしたが、

この上に、420万円、520万円、620万円、720万円の4段階が設けられ、計13段階となりました。

段階を増やしたのは、高所得者の保険料率を、より細かく引き上げるためで、一方、低所得者の保険料率は引き下げられました。

 

市区町村は、この国の基準を元に、独自の所得段階を設けます。

東京特別区では、国の基準よりも、さらに細かい段階を設けており、多くの区が、昨年度までより段階を増やしています。

少ない区でも16段階。

19段階~20段階にまで増やした区もあります。

 

高い所得段階の方ほど、基準額にかけ算される保険料率も高く、保険料は高額になります。

一方、1~3段階の世帯全員住民税非課税世帯には、減免制度が設けられ、保険料が軽減されています。

 

負担できる人に、より多く負担してもらうため、今後も、高所得者の段階の細分化は続くことでしょう。

 

参考までに、特別区の中から、豊島区と練馬区、文京区の2024年度~2026年度(令和6年度~令和8年度)の65歳以上の介護保険料一覧表を載せておきます。

区によって、これだけの違いがあるのがわかると思います。

 

表の中の

合計所得金額とは

収入金額から必要経費などを控除した金額のことで、扶養控除や医療費控除などの所得控除をする前の金額です

課税年金収入額とは

公的年金等の収入金額(障害年金・遺族年金などの非課税年金を除く公的年金の受給額総額)です

 

豊島区 令和6年度から令和8年度の介護保険料

 

練馬区 令和6年度~8年度の介護保険料

 

文京区 令和6年度~令和8年度の介護保険料

※それぞれの区のホームページより抜粋

 

介護保険料の納め方

 

●介護保険料の年金からの徴収方法

 

65歳以上の介護保険料は、基本的に年金から徴収されます。

1年間の介護保険料を6回に分けます。

ただし、保険料が正式に決まるのは、昨年の所得が確定する7月以降です。

その前に徴収される保険料は「仮徴収」と言って、前年度と同額が惹かれます。

そのため、先月と来月の年金から引かれる介護保険料は、2月と同額です。

 

7月ぐらいに、今年度の介護保険料決定のお知らせが来ますので、昨年度までと、どのぐらい違うのか、今後、年金から徴収される保険料が、どう変わるか、注意してみてください。

 

 

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