派遣労働における同一労働同一賃金は、均等・均衡法式または労使協定方式によります。均等・均衡法式は原則として派遣先の正社員を基準に派遣労働者の労働条件を定め、労使協定は例外であり、政府が提供する職種の全国平均賃金データに地域指数を乗じて金額を決定します。詳細は厚生労働省のHPで参照してください。

 

現状では労使協定方式が主流で、事実上派遣労働者には職種別最低賃金が出来たことになります。

 

この制度は首都圏で多い食品加工や倉庫業など一部の低単価の派遣労働者にとっては有利ですが、他の職種ではスキルアップや昇給の障害となっている場合もあります。

 

自由競争により賃金上昇が顕著だったブルーカラーやIT派遣労働者に対して、派遣先の一部が労使協定を利用して単価交渉時の派遣料金を決定しています。「〇年であれば全国平均は〇円、これに派遣会社のマージン30%を加えた派遣料金〇円で足りる」とされています。また、スキルアップが派遣料金の上昇を意味するため、意図的にスキルアップをさせないケースも存在します。

 

どの制度にも弊害はあり、良い意図で作られた制度が逆に悪用される悲しい現状が改善されることを願っています。