広島市で19日に開幕する先進7か国首脳会議(G7サミット)で採択されるクリーンエネルギー分野の個別声明の原案が判明した。G7各国の「行動計画」と位置付け、中国への依存度低下を念頭に太陽光パネルなどに使われる重要鉱物などのサプライチェーン(供給網)構築に向けた連携強化を打ち出す。脱炭素化に向けた公正で自由な多国間貿易も推進する。
声明原案では、気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」で掲げる「産業革命前からの気温上昇を1・5度以内に抑える」との目標に向け、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指し、「結束して前進する」と掲げた。
その上で、▽クリーンエネルギー導入に向けた補助金など動機付けの最大化▽貿易政策による脱炭素化▽
「貧困と闘い、包摂的で持続可能な成長に向けて経済を改革しようとしている世界中の国々を支援する」とも明記し、途上国など「グローバル・サウス」での支援強化を訴えている。
電気自動車(EV)や、太陽光パネルといった再生可能エネルギーの技術には、レアアース(希土類)などの重要鉱物が欠かせない。加工・精製などで中国のシェア(市場占有率)が高く、G7が供給網の強化を推進することで「脱中国依存」を図り、経済安全保障上のリスクを下げる狙いがある。
日本は次世代エネルギーとして期待がかかる水素の研究・開発や二酸化炭素(CO2)の回収技術などで先行しており、G7が連携し、こうした技術の世界的な普及にも取り組む。
日米は既に、重要鉱物の供給網強化に向けた貿易協定に署名している。米欧間でも協定交渉を進めている。
米国のジェイク・サリバン大統領補佐官は17日、G7サミットでクリーンエネルギーを重要議題とする考えを示し、「米欧間の取り組みをG7全体に広げることになる。技術の普及に向けG7各国だけでなく世界各地で取り組む」と強調した。
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