例えば、ヒグラシの鳴く声
夏の夕暮れに、いつも聞こえていたその声
周りには優しい、大好きな母がいて
弟たちがいて
ちょっと、いや、かなり苦手な父と祖父もいた。
蛍が飛び交い、川辺にはトンボらもいっぱいいた
川辺の土手で満天の星空を母と見上げたこともある
子ども時代の家族とその思い出は心に残っている
現象界は時と共に変化していき
そして、祖父も両親も、弟たちも、皆、いなくなった・・・
当時の家族の者たちは、皆、彼岸へと去ってしまって・・・
当時の家族の中の私だけが、今、地上に残されている。
そして、同じように夏の夕暮れにヒグラシの声を私は聞いている。
数十年の間には弟たちの子供家族、弟たちの孫たち
私の子供たちと孫たちが、また、新しい家族たちとなった。
時間の経過で現況は様々に変化して、なおも変化し続けている。
確かに存在していた、私の子供時代、そして家族。
時間がすべてを変えて、今は老婆の私が地上に残されている。
とけいそう と呼ばれる花を見かけた ↑
いったい、それらは何だったの?
実在なら変化して消えてしまわないはず、でも現実は変化して消えている。
偽物の私と偽物の現実とが変化して消えていったということ。
では、実在とは?
変化しない、久遠なる、永遠なる世界、それは目に見えない世界
それが実在界。
そこは久遠の愛の世界。
全てが一つとしてある世界。
大平安の、絶対の愛の世界。
もともといた世界、そして、肉体が消えて、偽物の自分も消えて、
本質の、本物の、出てきた世界、そこへ戻っていこう。
四つ葉ならぬ五つ葉があった! ↑
ヒグラシの声を聴きながら、
外側の、偽物の、仮の姿の自分が老婆の姿となって
大昔の子供時代に聞いた同じヒグラシの声を聴きながら、
人生はほんとに仮相の、幻影の世界であり、
永遠に変わらない実相の世界を
知ったから、帰るべきところへ帰ろうと思った。