俺達は旭川空港へ降り立った 
9月17日午前10時、俺達の前に熊みたいな男が現れた 

相変わらずデカい男だ 
熊より強いかも知れない 

俺は仲間を浅隈に紹介した 
まず、この人はマスターだと紹介したが浅隈は首を捻っていた

悟)そうだマスターって名前何だっけ? 
聞いてなかったな

するとマスターは"児島です宜しく"と会釈をした

悟)次に、この娘は歩だ
まぁ、俺の弟子みたいなもんだな? 
残念ながらこの娘は口が利けない 


歩は微笑んで会釈した 

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俺達は浅隈の車に乗り込んだ 
車を走らせながら浅隈は喋り始めた 

武)俺の村は今、かなり危険だ
この一週間で四人も熊に襲われたんだ

しかもたちの悪い奴で人間を喰らうんだ


ほぉ~と相槌を打った俺を浅隈は「怖くないのかぁ?」と訊いてきた

悟)怖い訳ないだろ、熊より強い奴がここにいるのに 

そして、呆れ顏の浅隈はまた喋り始めた 


武)俺の村ではあいつのことを、屍と呼んでいる、[跨またぎ]の仲間はみんな、呪われた悪魔だと言っている 
散弾銃で撃ってもびくともしない 
全く手に負えないんだ… 

出会したら逃げるしかない、だから俺の村は跨以外の人々を街に避難されている

お前達も街に宿を予約しておいた、温泉でも満喫してくれ


悟)オイオイ待て待て、俺達はお前の家に遊びに来たんだ、お前の家に行って貰わなねば困る 

と言った俺を浅隈は鼻で笑った… 


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俺達は小さな集落に着いた浅隈の住む村らしい 、長閑な田園風景だった

四方を山で囲われて如何にも熊が出そうな雰囲気だ 

集落は良く見ると熊の仕業と思われる爪痕が見受けられる 


すると俺達の正面にある山中で、銃声が二発鳴り響いた、跨と思われる村人が凄い形相で草木を掻き分け、逃げ惑う姿を目で追った

すると人間の二倍はあるデカい熊が現れ、村人を虫を潰すが如く叩いた

村人の頭が呆気なく吹き飛ばされ、残った胴体を熊は荒れ狂い貪り始めた

さすがに俺達は物陰に身を隠した 
まともに闘ったら命はない
俺の考えは完全に甘かった

冷静に考えた、熊に近づければ勝機はある 

熊を殺るには今がチャンスだ 

気を殺して熊に近づいた
一歩また一歩と… 

すると熊は突然、浅隈達が居る方へと走った

拙い、歩が殺されてしまう! 
マスターが殺されてしまう! 
俺の考えが甘かったせいで

この野郎ぉー!!

俺は全身の気を拳に溜め、無我夢中で気を放出した

気は熊の脇腹に直撃し、そのまま納屋に飛び込んだ

殺ったかっ? 


いや、まだ生きてやがる…
しぶとい奴め! 

俺は歩を大声呼んだ! 

悟)今の俺だけでは気が足りない、お前も一緒に来てくれ

弱ってる今がチャンスだ、よぉ~し! 
あの世に行けぇ~! 


歩と俺の気を合わし、渾身の震術を放った


グォァァァ~ 


熊は息絶えた


浅隈は目を丸くして呆然としていた 

勿論マスターも俺達の仕事を見るのは始めてだった 

正気を取り戻した浅隈は言った

アイツは屍でないと… 

屍はアイツの二倍はあると… 



つづく



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『屍と跨』 

※しかばね と またぎ

「震術」それは人殺しの技 

橘准教授曰わく人類最強の技だ 

来る日も来る日修行を重ね、この手で掴んだ術 

ーーーーー 

平成19年全国空手選手権会場 

突然、姿を現した初老の男が馴れ馴れしく話し掛けてきた 

「この大会で優勝しても最強にはなれんぞ」 

この男が後に師となる橘准教授だ 

「私ならここに居る厳つい男達を触れずに倒せる」 

何を言い出すのかと思ったら馬鹿な事を、屈強な男達を前にして、気でも狂ったか⁈

「それを知りたければ私の大学へこい、
まぁこの大会は軽く優勝しろ」 

決勝戦を前にして余計な雑念を与えやがって… 

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決勝の相手は南北海道代表の浅隈 武、前年度の覇者だ

今大会、俺は階級を上げ無差別級を選んだ

これまで連戦を勝ち上がってきたが 
相手は100kgを超す大男ばかりだ、 
さすにが体力が消耗していた 

全力であの熊男を倒して日本一になる


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浅隈はデカい、身のこなしも意外に軽い 

かなりの強敵だ

何を隠そう俺は身長175cm 70kgしかない、そこいらの若者と全く遜色がない 

端から見れば大人と子供に見えるだろう 

浅隈の突きはやたら重く、ガードの上からでもかなり効く 

必死に防戦するも小手先だけでは跳ね返される

圧力すら感じる技に翻弄されそうになった 

疲れの見え始めた俺に、浅隈は踏み込んで右の突きを打った 、そして俺はそれを必死に払い、体重を載せた回し蹴りを放った 



そして俺は念願の頂点に達った
会場内に拍手の渦が巻き起こった 


ーーーーーー 


あれから6年が過ぎ 
懐かしい奴からメールを貰った 

そう、熊だ、浅隈だ

「メール内容」 

おっす!兵藤、元気してるか? 
お前、跨「またぎ」って知ってるか? 

簡単に説明するとだな… 
跨ってのは熊専門の猟師みたいなもんだな 

俺の住んでる村でよー、熊が暴れて大変なんだよ 

それでよー、俺は跨になるって決めた訳さ 

熊に出会したらお前の事、思い出してなー 
それで連絡したって訳さ

暇つぶしに遊びにでも来るか? 
連絡待ってるぞー(笑) 

ーーーーー 


メール長げぇ~し… 
北海の熊ともあろう者が(笑)はねぇ~だろ…


悟)なぁ、マスター
あんた北海道行きたいかぃ? 

"是非、行きたいねぇ~なぜだぃ?"

悟)昔の知り合いから遊びに来ないか?って連絡があってな

歩も行きたいか? 

「私は行きたいけど母が何と言うか?」と紙に書いた 

悟)来週の三連休はどうだろ?

どうせならみんなで行こうぜ、なぁ? 

歩は嬉しそうなそれでいて不安そうな表情をした。


そして2日後…


悟)どうだい?歩は行けるのかな? 

「私は神戸の友達ん家に遊びに行くとウソついちゃいました、友達にも口裏合わせお願い済みです」と携帯画面を見せた 

悟)それじゃ、マスター飛行機を手配してくれ

"はい、はい、もう既に三枚買ってありますよ~"と、マスターの機転の良さに感激した


すぐさま浅隈に俺の他二名も遊び行くと連絡を返した 



つづく


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5月2日 

兵藤さんが歩って呼んでくれました 
嬉しくて涙を堪えるのに必死でした 

5月3日 

兵藤さん、離れたくありません
ずっと傍に居たいです

5月4日 

今日の修行はキツかったー
寝不足気味を指摘された
なんて鋭いのでしょう兵藤さん

5月5日 

私自身で修行する様に言われた
もう兵藤さんに逢えないのかな?
かなりショック 

5月6日 

学校から帰ってずっと修行してます、
お風呂でやると面白い

5月7日 

毎日、変化がありません
でも修行は続けます 


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2011年 
4月6日 

久しぶりに日記を開きました 
一年くらい逢ってないかな? 
兵藤さん私の事、忘れてちゃったかな? 

あれからずっと修行続けています 
私は高校生になりました

4月15日 

私メール打つの超早ーい、だって 
私の場合これが会話だから 

4月20日 

絶対絶命の危機だぁ
公園で変な男に犯されそうになった

男の人の力って凄い
堪らず震術を放っちゃいました

4月21日 

あ~悪夢だ
何で朋子が見てんのよ
言わなきゃいいのに沙希にまで言っちゃって

あっ私、殺めてしまった
つい、チカラ入っちゃって
朋子、、沙希、、

でも私を心配して兵藤さんが
逢いに来てくれたの 

また一緒に居られます 
私はあなたの傍に居るだけで幸せです

あなたがいっぱいいっぱい抱きしめてくれた、凄く凄く幸せです 

久しぶりにマスターとも逢えて嬉しかったな~ 

明日から兵藤さんと一緒に仕事をします 

足手纏いにならないように頑張ります 

4月22日 

今夜から仕事開始です

ターゲットは女の人です 

突然!何?ビックリした
あの人が言った事! 

一時は悲しかったけど 

今の私にはあなたしか見えません
大好きです

あなたには感謝の気持ちしかありません 

けれど、あなたは勘違いしていましたね 

私はあなたを殺せる訳ありません

あなたが思っているよりも 
いっぱい!いっぱい! 

あなたを愛しています 


ーーーー 


あなたの名前を教えてください→メール送信 



「俺に名前など無い! 
悪魔だからな!」 


と悟は笑った 




END



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