梅雨本番、週末はミニバスの合間を見ながら、好きなバイクに乗る…でも「雨」。“雨もまたよし”と思えるような“心のゆとり”がほしいと感じる今日この頃です。
昨日、お世話になっている先生のお宅にお邪魔させて頂き、バスケ談義に花を咲かせました。
先生は渡米して、アメリカの文化を肌で感じ、また息子さんもアメリカに連れていかれていたことで、現地(アメリカ)の子ども達へのスポーツへの取り組みを体現されています。
今日は、お聞きした旬のお話を少しだけ、書いてみます。
なぜ、アメリカのスポーツ文化は、認知も含め根強いのか…そこにはスポーツを始めるきっかけである子ども達への環境づくりが日本とは随分と違うことが見えてきます。
先生の息子さん(お二人)は、現地でバスケットボールとベースボール(野球)、二つの競技をされていました。
当時の様子を冊子で見せて頂きましたが、何とも夢がある仕組みです。
まず、バスケットにおいては、少数でチームを構成されます。人数は8~10名程度。それ以上はなく、人数が増えるとチームが分かれます。
要は、子ども達に試合に出場する機会を与えているということで、バスケットの面白さを体現させる仕組みのようです。
(日本のミニバスでも10人を出場させる仕組みがありますが、アメリカはそれよりに先を行っています)
このチームごとに指導者は3名程つきます。しかも保護者コーチが基本。結果、2~3人に一人の割合で、指導者が選手(子ども)につく仕組みとなります。
更に、保護者といっても、しっかりと指導方法について、学び、子ども達の成長と共に、親としてコーチングを習得することは、ごく当たり前のようにおこなわれる文化があります。
日本であれば、バスケ経験がない保護者は「私はバスケを知らないので無理です」って言うでしょうが、そんなことは通用しない…であれば、今から勉強しましょう!という風潮が当然のようにあるということです。
更に専門的な技術を習得したい選手は、プロのコーチに有料で指導を受ける仕組みになっています。いわゆる塾のような存在ですね。日本で言えば、クラブチームがその走りになるかと思いますが、それより先に進んでおり、より専門的な分野別でコーチングがビジネスになっています。
(例えば、シュート専門とかドリブル専門とか、アジリティー専門とか…)
カテゴリーも近しい学年の括りで、細かく分かれており、日本でいう低学年は低学年で戦かい、年を重ねるごとに、また同じようなレベル(ステージ)で経験を積んでいくのです。
また、ベースボールにおいては、更に面白い仕組みがあります。
シーズンが始まった当初は、Tシャツでの練習をおこない、一定の時期になれば「ドラフト」が行われるそうです。
ドラフト後のチームは、現在あるメジャーリーグと同じチーム名、同じユニフォームで、メールでどのチームにドラフトされたか連絡が来るとのことです。
(ここまで聞いても、ワクワクしますよね!)
プレシーズン中に指導者らが、選手の成長や可能性をスカウティングしており、ドラフトで順にピックする仕組みの為、ドラフト後のチーム力はより拮抗します。
子ども達は、自分がドラフトされる興奮と、プロと同じユニフォームに袖を通す実感で、より強くメジャーリーガーを目指すといった粋な計らいです。
(※ちなみに、上手な選手だけがドラフトされるんじゃないですよ。全員です!昔、遊びで「取りジャン」ならぬ、じゃんけんで順番に仲間をピックするってやってましたよね)
先生の息子さんもベースボールを始めた初日に、いきなりバッターボックスに立たせられ、コーチに手取り足取りでフォームを教えられたそうです。
しかも、フィールドには沢山の大人が一緒に入って、一人一人の選手に手取り足取り、ベースボールのいろはを教えるとのこと。
ポジションも、ピッチャーからキャッチャー、内野、外野と全てのポジションを必ず一度は経験させるとのことです。
…ミニバスで背の高い子は、いきなり「センター」、昔はこれが当たり前のようにおこなわれていましたので、結果、背が伸びず、ドリブルなどの技術が身に着かないまま、壁にあたり、バスケをやめた…なんて話もよく聞きましたね。
で、ここから更に面白いのは…
まず、
・三振がない
・フォアボールがない
※他にもあったかな?
シンプルにベースボールの面白さを伝える為の工夫があります。
三振はなく、ボールが前に飛ぶまでバットを振らせてくれます。打つ快感が味わえるまでね。
未熟なピッチャーはストライクが入らないが、それは決して責められることではなく、あまりに入らないときは、攻撃側のコーチ(大人)が変わりに手でトスをして、バッターにボールを打たせるとのことです。
力あるものが、弱い(未熟な)者を圧倒的な力で見せつける…なんてことに全く“フォーカス”していないということ。子どもの頃の力量は、先を見たときにそれほど重要ではないということ。それよりはベースボールの楽しさを教え、夢を見せるということです。
バッターボックスで「空振り」をすれば… グッド スイング!「いい振りだ!」と褒められ、ボールに手が出せず見逃してしまえば… グッド アイ!「よく見逃した」とその姿勢を理解してもらい、ようやくバットにボールが当たれば… グッド ジョブ!「素晴らしい!」と称えられる。
そこまで言われれば、大人でも言い方が悪いですが「勘違い」しますよね!(笑) それを勘違いと思わず、前向きにとらえる子ども達の先に“スーパースターへの道”が開けるということです。
また、メジャーで活躍する一流選手が、ひょっこりグラウンドに現れるとのことです。日本のプロ野球選手よりも年俸で言えば、何倍、何十倍もある選手がひょっこり。日本では考えにくいことですが、これもプロとして「子ども達に夢を与える」ことがプロとしての当然のことであるというアメリカの文化です。
そして、子ども達に「頑張ってここまでおいで!」とメッセージを残していくのです。
コーチの言葉は「言霊(ことだま)」。言霊にはメッセージがあることをアメリカは既におこなっています。
ネガティブワードを口にする今の日本のスポーツ事情が、これからどう変わるのか。
失敗(ミス)するな!、失敗(ミス)はいい!一見、相反する言い回しのようですが、そこにはネガティブワードが含まれています。
人間、それをするなとか、そこに行けば危ないと言えば、不思議とそこに行ってしまうものです。
悪い結果を恐れて、それを避けようとすればするほど、結果的に悪い方向に行くことは、スポーツに限らず、人間の根幹にあるものなのか…私にも耳の痛い話です(笑)
今、書いているのは昨日、先生にお聞きしたほんの一部のお話。もっと沢山のお話を聞かせて頂きましたが、記憶している限りのことを書くだけでも、私は一冊の本を書けそうです(笑)
でも、こうやって縁あって、お話を聞かせてもらった数時間の間でも、自分自身に“自問自答する機会”が与えられます。
そう思うと…周りの声に耳を傾けない、聴かない…ということは、なんと勿体ないことか。
今まで私が当たり前のように「言って」「聞かせて」「させていた」ことが、“常識”と思っていたことが“非常識”になる瞬間。この十数年のブランクが、逆に今、耳にすること、目にすることが“新鮮”であり、時代が変わった…変わった時代に憧れる自分がいます。
さあ、私たち指導者も「挑戦」です!
新たなステージへ一歩を踏み出す勇気と、背中を押してくれる仲間を見つける旅に出ましょう!
人生は一度きり、今、目の前にいる子ども達との時間(瞬間)も一度きりなのだから…。